森友学園への国有地大幅値引きでの売却に関し、財務省が決裁文書を書き換え、不都合な部分を削除し、あるいは書き換えて国会に提出するという「絶対にやってはならない」行為をしていたことが公になり、19日の参院予算委員会で安倍晋三総理、麻生太郎財務大臣出席のもと集中審議が行われることになった。
書き換えが「なぜ」行われたのか、誰の「指示」によるものか、書き換えによって国会追及から回避できる立場の官僚・政治家は「だれ」か。書き換えが行われた指揮系統を明確にすること、さらに国民を欺く国家的背信行為について、責任の重大性から懲戒免職も視野に厳しい対応が再発防止になるだろうと考える。それほどに重大な案件だ。
今回、麻生財務大臣は、ひとり当時の理財局長だった佐川宣寿前国税庁長官の責任で行われたかのような国会答弁や記者会見での発言ぶりだが、財務省の最高責任者は自身であり、予算成立時には速やかに辞任すべき立場にあるはず。責任者としての反省が見えない。
19日の参院予算委員会の成り行きで佐川氏の証人喚問を行うかどうか与党は判断するとしているが、書き換え問題については佐川氏に語って頂くほかに真相は見えてこない。速やかに証人喚問を決め、質すべきことを質してほしい。
一方、こうした事態を招いた森友問題の「本題」を忘れてはならない。なぜ廉価売却が特例を重ねて行われたのか。しかも8億円の値引き根拠になった地中3mより深いところに新たなゴミが本当にあったのか、疑問は今も解明されていない。
毎日新聞が16日報じたところでは地中ゴミを試掘した業者が大阪地検特捜部の調べに『実際より深くに(ゴミが)あると見せかけた虚偽の報告書を作成した』と証言しているという。捜査関係者の話として「(業者は)事実と違うことを書かされた」「書けと言われてしょうがなくやった」と説明しているという。
8億円の値引きの背景には安倍総理への忖度、安倍昭恵総理夫人が名誉校長に一時就任していたこと、昭恵氏付職員で財務省に用地に関して問い合わせをしていた谷査恵子在イタリア大使館一等書記官らも証人喚問から外すことはできないだろう。
「私も妻も、私の事務所も土地や小学校認可に関わっていないことは明らか」と安倍総理が国会で語っている通りならば、昭恵氏が証人喚問に応じ、国民の疑念に答えることが最も事実を明らかにできる機会になるだろう。
「民間人であるから」というのであれば、さきに証人喚問に応じた籠池泰典前森友学園理事長こそ完全な民間人だ。昭恵氏は民間人であるとともに、公人としての顔も持っている。谷氏も事実関係を明らかにする責任は公務員として当然にある。是非、国民の疑念に積極的に答えて頂きたいと願う。(編集担当:森高龍二)