高度外国人材にとって魅力ある企業に。政府、取り組み事例集を作成

2018年04月03日 07:42

画・高度外国人材にとって魅力ある企業に。

厚労省は、企業における高度外国人材の労務改善に関する取組を支援するため好事例集を取りまとめ、公表した。実態調査結果に基づく高度外国人材の要望とこれに対する取組事例を体系的に把握するのが目的。

 少子高齢化による生産年齢人口の減少で人手不足感が高まっている。中でもマネジメントクラスのITエンジニアなど高度専門職の人材が絶対的に不足している。グローバリゼーションや第4次産業革命が急速に進む中、このままでは日本は産業崩壊を起こすとまで言われている。

 これに対して政府は高度専門職の外国人を引き込むことで対処しようとしている。「世界最短の永住権取得」は政府の成長戦略の一環であり、既に2017年4月に法務省令改正により最短1年の永住権取得が認められた。そもそも日本企業は高度専門職の外国人にとって魅力的なのだろうか。既に日本企業で働く高度人材の外国人から様々な不満の声があがっている。

 これに関連し厚生労働省は「外国人雇用対策に関する実態調査」を実施、この調査に基づき「高度外国人材にとって魅力ある就労環境を整備するために~雇用管理改善に役立つ好事例集~」を作成し、これを公表した。既に3月13日、大阪で開催された「高度外国人材活用促進セミナー」において配布済みだ。

 本事例集では、雇用管理改善の10テーマが掲げられ、前半では実態調査に基づいた高度外国人材が改善を望む事項とこれに対する取組事例が掲載され、後半では具体的な取組事例の詳細を紹介する構成となっている。

 雇用管理改善の10テーマのうち重視度を高度外国人と日本企業の人事担当者の回答で比べると、「ワーク・ライフ・バランス に関連する事項(外国人23.1%、企業担当1.9%)」や「仕事の内容の明確化(外国人20.3%、企業担当17.7%)」において、高度外国人材と企業の人事担当者の間に大きな認識の齟齬が生じている 。

 「ワーク・ライフ・バランスの達成のしやすさ・ テレワークなどの柔軟な働き方」に関する改善の事例としては、情報通信業の企業において「ビジネス向けチームコミュニケーションアプリを活用して テレワークなどの柔軟な働き方を実現」した事例や「祝日を振り替えて、まとめて休暇を取得できる制度を導入」した事例の詳細が掲載されている。

 海外には就社という概念はなく「自分の専門性を生かしたい」というのが世界共通の考え方である。海外の雇用慣行を理解したアプローチが必要であり、業務内容を明確にするなどの世界標準を実現しなければ優秀な人材の確保は難しいようだ。日本企業が大きく変わらなければならない時代になったといえる。(編集担当:久保田雄城)