共働き世帯増加と働き方改革

2018年02月28日 07:30

画・共働き世帯増加と働き方改革

共働き世帯は1000万世帯を超えなおも増加傾向にある。働き方改革では、こうした共働き世帯が今後も増えていくことを想定したうえで最適な進め方を行うことが求められる。

 現在、日本ではほとんどの家庭が共働き世帯ではないだろうか。男性が働くのは言うに及ばず、女性であってもパートなどで外に働きに出るケースは今や常識となりつつある。中には結婚しても正社員として働き続けるといった女性も決して少なくない。専業主婦として家庭に入るというのは今ではかなり少数派といえるのではないだろうか。それを表すデータといえるのが、厚生労働省の調査による共働き世帯数の調査だが、これによると1980年にはおよそ600万世帯だったのが、2016年にはおよそ2倍の1129万世帯にまでのぼることがわかる。そして、共働き世帯は今後もさらに増え続けていくと予測されている。

 この共働き世帯の増加には、様々な要因が考えられる。中でも最も多いのが男性の収入だけで専業主婦を養うことが難しいというものだ。結婚した妻を専業主婦として養うことができる年収の目安は700万円以上ともいわれており、このことからも男性側に求められる収入の金額に対してのハードルはかなり高いといえるだろう。共働き世帯が増えているのも、こうした要因が絡んでいることは間違いないのだが、同時に見過ごせないデータとなっているのが少子高齢化である。女性の社会進出が進むと共に問題が顕在化してきたのが少子高齢化であることを考えると、決して無関係とはいえないだろう。

 また、政府主導で進める働き方改革についても共働きは大きな関わりがある。とりわけカギを握るともいわれているのが男性の働き方だ。残業を少なくし、帰宅する時間を早めることは家庭との関わりを増やすことができると政府は考えるが、もちろんそんな短絡的な発想だけが働き方改革の目的ではない。働き方改革というのは、あくまでも仕事の効率を高め生産性を向上させることにある。家庭と仕事とを円滑に過ごせるようにするというのはあくまでも副次的なものでしかない。共働き世帯そのものが増えていくという社会の構図は今後覆すことが難しいし、女性の社会進出も今後さらに進んでいくことになることを考えると、働き方改革についても共働き世帯を無視するわけにはいかなくなる。

 実際のところ、働き方改革とは共働きという働き方とセットで考える必要がある。共働き世帯では、男性も女性も平等に家事や育児を分担しなければならないが、働き方改革で求められることは、こうした家事や育児の分担を無理なくできる職場環境の提供である。賃金が大幅に増加することは今の時代ほとんどの人が期待できないが、それならせめて家族と過ごす時間は確保したい、これが多くの労働者のニーズではないだろうか。そして、それを実現するために考えるべきことが共働き世帯にとっての働き方改革ということなのだ。(編集担当:久保田雄城)