思想統制に繫がりかねない、文科省調査に批判

2018年04月04日 06:12

 前川喜平前文部科学事務次官が愛知県名古屋市立中学で講演した際、前川氏を講師に招いた理由や講演内容の録音データまで文部科学省が名古屋市教委に求めた問題で、名古屋市が文科省に対し「複数回にわたり問い合わせた意図」や「授業に対する文科省の考えを示すよう」高橋道和初等中等教育局長あてにメールで逆質問した結果、文科省は「前川氏が天下り問題で停職相当とされたことを十分調べることなく講師に招いたのは必ずしも適切だったと言えない」などとし「もう少し慎重な検討が必要ではなかったか」と回答。調査についても「法令に基づいて行った」と回答したことが分かった。

 名古屋市の河村たかし市長は「中学校の校長は前川氏がみずから責任をとって退職をしたことを認識しており、(文科省の)指摘には納得できない」と批判した。

 河村市長は「道徳か、道徳的でないかを文科省が指導させて頂きますということについて、一点の揺らぎもない訳でしょ。文科省が一定判断で調査できるとしたら、いわゆる思想統制につながっていくような話。一定の価値観を文科省が強制できる可能性があるということには戦っていかないかん」と文科省の今回のような調査は思想統制につながりかねない大問題を含んでいるとの認識を示した。

 河村市長は今後の対応について、国会審議の行方を見守ったうえで判断していく考えだ。今回の問題では自民党・赤池誠章文部科学部会長と池田佳隆部会長代理の2人が文科省に問い合わせをし、文科省の質問項目を池田氏が添削した疑いも消えていない。

 教育現場への政治介入が強く懸念されており、文科省が行った質問内容もこれに応じたように受け取れる文言だっただけに、河村市長の指摘する「思想統制につながりかねない」危険の払しょくを図るためにも、野党がどこまで国会で迫れるか、教育問題だけに国民は注視しなければならない。(編集担当:森高龍二)