日本の物流を支えるのが長距離運転をするトラックドライバーたちの存在である。そんなトラックドライバーたちから再評価の兆しがあるのがカーフェリーだ。物流はトラックをはじめとする様々な自動車が利用されているものの、ガソリン代の高騰などから自動車の利用が減少傾向にあった。また、海上を安全に通行することができる橋の開通などから船そのものの利用もまた減少傾向にあり、フェリー業者の廃業も少なくなかった。そんな状況がここにきて少しずつ改善の兆しが見え始めている。
フェリーは島国の日本において経済発展に欠かせない存在だった。まだ高度経済成長期の昭和40年代には九州や関西などを結ぶ海上航路が次々に開通し、物流はもとより多くの利用者がいた。しかし、リーマンショックをはじめとする長引く不況により経済に対する影響が出始めると、フェリー業界についても同様に大きな痛手を受けることとなる。日本中では大小様々なフェリー業者が廃業となり、事業を継続したフェリー業者も抱えているだけでコストがかさむ船の売却などを余儀なくされていた。さらに、高速道路の相次ぐ開通と低料金で利用できる環境整備が進んだことで、輸送の主役が自動車がメインとなったことから、さらにフェリー業界の縮小が進んだといえるだろう。
そんなフェリー業界に転機が訪れたのが、高速バスの事故などによる長時間運転の是正勧告である。2013年には国土交通省からトラックドライバーの長時間運転に対して是正するよう通達を出し、これは重大な違反が認められた場合には罰則を適用するといったものだった。また、景気回復によってフェリー業界も少しずつ回復、業績を順調に伸ばせるようになっていたこともあり、トラック業界の間でフェリーを利用するといった風潮が高まっていった。
カーフェリーを利用するトラックドライバーが多くなっている背景にあるのは、船に乗っている間はドライバーは休息をとることができるという点にある。トラックドライバーは連続して運転をする場合には法律で定められた休息時間をとらなければならない。フェリーを利用することで、その必要な休息時間をとることができるという。また、最近では原油価格が高騰していることもあり、自動車の燃料費も高い状態が続いている。そのため、フェリーを利用する費用と燃料費とを考えるとそこまで大きな差はなくなっており、差がないのであれば休息ができるフェリーを利用した方がメリットが大きいということだろう。こうしたフェリー業界の再評価は、今後も続いていくとみられており、経済の活性化につながると業界内外を問わず期待が高まっている。(編集担当:久保田雄城)