公益財団法人の日本生産性本部は、産業ごとの労働生産性についての調査を行った結果を発表した。この労働生産性の調査では、日本と欧米の4カ国とを比較したもので、その調査によると日本の労働生産性は低く、中でもサービス業においてはアメリカのおよそ半分ほどという結果となっている。この調査における労働生産性は、実際に働いた時間について1時間あたりの付加価値で計算しており、日本との比較対象となった国はアメリカの他、ドイツやフランス、英国のデータを集計した。
この調査で明らかとなった日本のサービス業の労働生産性はどのようなものか。ここでいう労働生産性とは、従業員ひとりにつき一定の労働時間でどの程度の付加価値やサービスを生み出すことができているか、ということを表す指標となっている。同調査におけるアメリカの労働生産性を100とした場合、日本のサービス業の平均値はおよそ50.7という状態であり、このことから日本はアメリカのおよそ半分という数値であることがわかる。
労働生産性が低いということはどういうことかといえば、ひとつの付加価値やサービスを生み出すために日本はより多くの労働力を投入しているということになる。当然ながら労働生産性が低くなればそれだけコストもかかることになり、利益も少なくなる。それに対してアメリカは日本の半分の労働力で日本と同等の付加価値を生み出していると考えることができる。
日本のサービス業において世界的にみても労働生産性が低い要因となっているのが、競争の激化に加えIT化の遅れによる効率性の低下が関係している。日本はその国民性もあり、サービス業という業界においては他の産業では当たり前のように行われているITによる自動化が行われていない場合が多い。そのため、結果的に労働力を多数投入せざるをえなくなり、それもあって労働生産性が低下している可能性が考えられるのだという。
かねてから日本人は世界的にみても働きすぎな国民性であることが知られている。勤勉で実直な国民性であることから、それがこうしたデータとして表れていると考えることもできるものの、他国と比較して労働生産性が低いという状態は決して良い状態とはいえないだろう。もちろん様々な要因があってこその労働生産性であるため、すぐに劇的な改善が行われるということにはならないかもしれないが、こうした事態を是正するための方策を考えていきたいところだ。(編集担当:久保田雄城)