改憲署名「地本で行っている事実ない」と防衛相

2018年05月10日 06:12

17万人の現職自衛官が賛助会員として所属している公益社団法人「隊友会」が右派系改憲推進団体と連携し憲法改正の署名活動に動いているとの報道に対し、小野寺五典防衛大臣は8日の記者会見で「公益社団法人についてはNPO法人と異なり『政治活動を主たる目的としないこと』といった法令上の規定はなく、各団体の活動目的の範囲内で、一定の政治活動を行うことは認められていると承知をしている」と述べた。

また自衛隊東京地方協力本部が憲法改正の署名活動をしていたのではないか、との問題については「署名を地本で行っているような事実はない」と否定した。

 小野寺防衛大臣は「隊友会や東京地本に確認を行った。事実関係としては平成27年当時の東京都隊友会の事務局便りで、会員に対し憲法改正に関する『署名用紙は東京地本予備自衛官課へファックスを』という記載があったということだが、本記述は東京地本と調整されたものではないため、事務局便り掲載直後、東京地本より返送先を『隊友会』に改めるよう働きかけを行い、実際にはこのような署名活動は行われていないということだ」と答えた。

 記者団が、改憲への署名活動は憲法15条「すべて公務員は全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」また、自衛隊法第61条「選挙権の行使を除くほか、政令で定める政治的行為をしてはならない」に抵触するのではないかと質したのに答えた。

 隊友会は平成23年に公益社団法人となり「国民と自衛隊とのかけ橋として、相互の理解を深めるとともに、防衛意識の普及高揚に努め、国の防衛及び防災施策、慰霊顕彰事業並びに地域社会の健全な発展に貢献することにより、わが国の平和と安全に寄与し、併せて自衛隊退職者の福祉を増進すること」をその目的としている。

 隊友会は自衛隊退職者や予備自衛官補で採用された人らが正会員となり約7万2000人(昨年3月末現在)いる。また現職の自衛隊員も入会を希望した17万人が賛助会員になっている。

 隊友会が憲法改正の署名を行うことが「国民と自衛隊とのかけ橋」として「相互理解を深める」とする会の目的と整合性がとれるのか。17万人もの現職自衛隊員が賛助会員になっている中、最高法規である憲法の改正運動に参画することに自衛隊法61条の規定趣旨に照らして問題がないのか、疑問符がつきそうだ。(編集担当:森高龍二)