財務省報告で行政府が立法府を欺いた事実鮮明

2018年06月04日 20:35

 森友学園への国有地大幅値引き売却をめぐり財務省が決裁文書の改ざん、廃棄を行ってきた目的が「国会審議で更なる質問につながり得る材料を極力少なくすることが主な目的だった」と行政府が立法府を欺く、断じて許されないことが目的であったと、4日、財務省決裁文書改ざん問題調査報告書で明らかになった。

 「財務省理財局の幹部職員は国会審議が相当程度紛糾するのではないかと懸念し、回避する目的で改ざんを進めたものと認められる」とした。また、改ざん・廃棄への方向を決定づけたのは佐川宣寿理財局長(当時)としている。

 佐川氏は当時、国会で「文書はない」などと繰り返し答弁。しかも、この虚偽答弁、改ざんした文書の国会への提出で、国会は1年以上空虚な議論をしてきた。佐川氏はじめ関係者を偽計業務妨害で責任追及すべきとの声もある。

 報告書は「一連の行為が財務大臣、事務次官などに一切報告されず、理財局で理財局長が方向性を決定づけ、総務課長が関係者に方針を伝達するなど中核的役割を担い、国有財産企画課長、国有財産審理室長が深く関与していたと認められる」などとし、責任が官僚のみにとどまる内容になっている。

 そのうえで、関係者を懲戒処分したが、国民感覚からは軽い処分になった。佐川氏は停職3か月相当で、その分の相当額を退職金から差し引く。理財局次長は戒告。当時の総務課長は停職1か月。当時の国有財産企画課長は減給20%、3か月にとどまった。

 しかも、麻生太郎財務大臣は同日発表した談話で、大臣続投を表明した。麻生大臣は「決裁を経た行政文書を改ざんし、国会等に提出するようなことはあってはならない。誠に遺憾。応接録についても国会等との関係で極めて不適切な取扱いがなされていたものと認められる」とあってはならないことが自らトップを務める財務省で行われ、立法府との関係でも不適切な取り扱いがあったと認めながら、自らの責任は「閣僚給与の12ヶ月分を自主返納する」ことにとどめた。

これだけの不祥事と行政府への信頼失墜行為を生じさせながら「財務省全体の意識改革を進める。それとともに財務省が担う行政分野の様々な課題について引き続き責任をもって取り組んでまいります」と表明した。(編集担当:森高龍二)