森友・加計「膿、出し切れ」

2018年06月10日 09:56

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政府が1年以上にわたり「虚偽答弁」と「公文書の改ざん」で立法府(国会)を欺いてきた。民主主義の根底を揺るがす大問題だ

 政府が1年以上にわたり「虚偽答弁」と「公文書の改ざん」で立法府(国会)を欺いてきた。民主主義の根底を揺るがす大問題だ。

それにも関わらず、安倍晋三総理は「陳謝」のみ、公文書改ざんを行った財務省の最高責任ポストにある麻生太郎財務大臣は約170万円の報酬自主返納で幕引きしようと図る。これを支える自民、公明はいったいどのような認識をもって対応しているのか。政府・自民・公明の責任問題は重大だ。

 国会答弁で総理は「膿を出し切る」というのみで、具体的対応はまったくない。膿を出し切るには『真相』を突き止めることこそ必要だ。すべてはそこから始まる。

 なぜ、このような問題が起きたのか。森友学園への国有地大幅値引き売却を巡る一連の問題の背景には森友学園が開校しようとしていた小学校の教育方針(皇室・神ながらの道に沿った教育勅語、日本人としての誇り・貢献、修身など)を素晴らしいと一時、小学校名誉校長に就任していた安倍昭恵総理夫人が影響していたことは否定できない。

 教育方針と安倍総理夫妻の思想が類似しているゆえに、開校を後押しするために異例の扱いが重ねられたのではないのか。総理や昭恵夫人や総理の事務所は「金銭授受に絡んでの『関係』はない」のだろうが、別の目的があったように思われてならない。

 参議院事務局は国会で、日本共産党の辰巳孝太郎議員から政府の一部局が過去に公文書の改ざんや虚偽答弁を行い、これを認めたことはあるのかと問われ「第1回国会(1947年)以降、政府が虚偽答弁を認めた例や公文書改ざんを認めた例はいずれも確認できなかった」と答弁。民主主義の根底を揺るがす前代未聞の深刻な問題であることが改めて裏付けられた。

 森友を巡る一連の問題が総理や総理夫人から派生した問題でないと何人の国民が思っているだろう。

 先ごろ明らかになった昨年9月7日、40分にわたり行われた「理財局長と航空局長の意見交換概要」(取扱厳重注意)では、会計検査院の対応について、航空局は「総額を報告書から落とすことと、瑕疵担保責任の考え方を認めさせて、リスクを遮断するために見える範囲で最大限合理的な範囲で見積もったと主張できるようにしておくことが重要」などと提示していた。

 籠池泰典森友学園前理事長は今月6日、安倍昭恵総理夫人が土地取引に大きく影響していること、文書改ざんにも安倍夫妻への忖度があった、とした。特に、財務省が今月4日公表した調査報告書の中に「最も大事な部分がないのはおかしい」と指摘。昭恵夫人が小学校建設予定地を視察した2014年4月の記録や昨年2月から3月の記録がないことに疑問を呈した。

 文書改ざん問題では近畿財務局職員が自殺している。「政府から指示がないと行政マンは改ざんなんてしない」と。

 社会民主党の福島みずほ副党首は財務省の調査報告書に「肝心なことが書かれていない。なぜ改ざんが行われたのか、動機が書かれていない」と指摘。「改ざんを認めているが、なぜ起きたのか、問題の究明なし」。

 特に森友問題の経緯で登場する「安倍昭恵さんや谷査恵子さんの調査も行わず、何が調査なのか」「なぜ8億円のゴミの値引きがされたのか、なぜ改ざんが行われたのか真実に迫っていない」と調査の不十分さを問題視した。

 獣医学部新設を巡る加計問題とともに、真相解明のため特別委員会を設置し、国民の疑念に答えることが重要だ。行政府は信用回復のために、立法府は民主主義の根底が維持されていることを立証するため、森友・加計問題の膿を出し切っていただきたい。(編集担当:森高龍二)