2017年における訪日外国人客の国別のシェアをみると中国、韓国、台湾、香港の東アジア4カ国・地域で全体の74%を占め、これに東南アジア10%を加えると84%がアジアからの訪日で、欧米は10%に過ぎない。
アジア人と欧米人の日本に関する知識を比較するとアジア人は比較的日本の観光名所について具体的な知識を持っているようだが、欧米人は具体的に観光スポットの知識をあまり持っていないようだ。欧米人の訪日客をさらに引き込むためには具体的な観光スポットの広報が重要なようである。
インバウンドニュースサイト「訪日ラボ」を運営する株式会社movが、インバウンド・マーケティングの観点から日本の観光名所や観光スポットの海外での知名度について調査を実施した。この調査では「訪日外国人に最も人気の観光スポットTOP30」から観光スポットを選び、一般的な外国人にこれらのスポットがどの程度の知名度を持つかを調査している。調査対象の国は、台湾、タイ、シンガポール、米国、ドイツの5カ国である。
調査結果を見ると、TOP30の観光地の中から知っているものを複数回答で選択させたところ、アメリカとドイツでは、広島平和記念資料館を除いた全ての観光スポットで知名度が5%以下となっており、「知っているものはない」と回答した者の割合はアメリカでは65.7%、ドイツでは76.8%に及んでいる。欧米市場に対しては日本の観光地名やその魅力について基礎的な知識を広報することが必要なようである。
「最も行ってみたい場所」を選択させたところ、アメリカ、ドイツ、シンガポールでは具体的なスポット名ではなく「その他」と選択する者が多くなっている。「その他」を選択した者に「それではどこに行きたいか」と質問したところ「東京」、「北海道」などという都道府県レベルでの回答が多かった。上記と同様にこれらの国の人では具体性がなく訴求性が弱いと考えられ、訪問先に具体性を持たせるように広報・マーケティングの仕方に工夫が必要なようだ。
5カ国の者に「日本の国の観光地の魅力」について尋ね自由記述で回答してもらい、キーワード化して分析した結果、ほとんどの国で「美しさ」というキーワードが日本の観光資源における魅力訴求ポイントであるという結果になっている。レポートでは「総じて自然や歴史から見えてくる、まさしくクール・ジャパン的な美しさが、一般的な外国人とって魅力的にうつるのではないか」と分析している。(編集担当:久保田雄城)