欧米から取り残される日銀、大規模緩和継続

2018年06月26日 07:15

画・欧米から取り残される日銀、大規模緩和継続

金融政策決定会合の結果、日本銀行は現在の金融緩和策を継続して実施する方針を固めた。景気は拡大しているが物価が上昇してこないことが関係している。

 日本銀行は現在の大規模な金融緩和策をそのまま継続する方針を固めた。その背景にあるのが、日本の物価が順調に推移しているとは言いがたいという「現実」だ。景気そのものは確実に拡大しつつあるものの、それに反比例するかのように物価が上がってこない。このような現状では日本銀行も金融緩和策を継続せざるをえない状況にあるという。

 欧米諸国では、物価上昇率の目標として2%という数字を掲げている。実際にアメリカではこの物価上昇率2%を達成し、ヨーロッパ諸国でもその目標の数字に近づきつつある。いずれのケースも景気が堅調に拡大し物価も順調に上昇していることが大きな影響を及ぼしている。これらの国々についても、現在の日本と同じように金融緩和策を打ち出していたが、現在は着々と成果が上がっており、金融緩和策の出口が見えている状態といえるだろう。

 それに対して日本は冒頭で説明した通り今後も金融緩和策を継続するということで欧米諸国と比較しても金融緩和の出口が今なお見えてこない状態にある。日本銀行の黒田東彦総裁は、金融政策決定会合終了後の会見では「今後も粘り強く金融緩和を続けていくことが日本経済には必要」と述べていたが、これは金融緩和策が現在の日本にとって適切との判断からである。しかし、現状での問題となっているのは、日本経済における景気そのものは決して不調ではない、という点である。景気は順調に拡大しているにもかかわらず、物価が上がってこないことが問題なのだ。

 実際に、消費者物価指数は今年の2月に上昇したもののその後は2ヶ月連続で低下している。物価の上昇が鈍い傾向にある理由を考えるうえでひとつの要因として考えられるのが少子高齢化による企業の人手不足である。人手不足は将来的な企業の成長にも大きく関わる部分であり、慎重な対応を迫られるケースも多い。機械化などで生産性を向上させたとしても、そこで働く従業員の絶対数が不足すれば企業の成長が難しいことは言うまでもない。それでなくても現在はサービスが拡充していることから今以上に物価が上がりにくい時代といわれている。

 とはいえ、日本以外の欧米諸国では金融緩和策の出口が見え始めているということなので、この現状は日本だけが取り残されているような状態となっている。現在は金融緩和策を継続するしか方法がないだけに、一刻も早い緩和の出口が見えるための方策を立てることが必要だ。(編集担当:久保田雄城)