厚生労働省は6月1日、学童保育の定員について2019年度から23年度までの5年間で新たに30万人分の受け皿を整備することを発表した。定員オーバーで学童保育の利用ができない待機児童の解消が目的だ。
厚生労働省の調査では、17年5月1日時点での学童保育の数は全国で24,573ヶ所で過去最多を記録した。しかしその一方で学童保育を利用している児童も1,171,162人で過去最高を更新、学童保育に申し込んでも利用できない待機児童の数は17,170人に上る。ここまで待機児童が増えたのは、共働きの家庭が急増したことが要因の一つだ。これからも学童保育の利用者、希望者は増加することが予想されているため、政府はさらなる受け皿の拡大が必要と判断した。
学童保育の定員拡充が急務である別の要因は、いわゆる「小1の壁」だ。政府は保育所の待機児童の解消に注力し、国家戦略特区において職員の6割以上が保育士の資格保有者であれば認可外保育所であっても認可保育所と同等の補助金が受けられる地方裁量型認可化移行施設の設置などの政策を行っている。しかし子供が小学校に入学した途端、放課後の子供の預け先がなくなり両親のうち片方が退職を余儀なくされるケースが後を絶たない。働く女性の急増によって人材不足にも一定の歯止めがかかることが期待される中、これは経済にとって大きな痛手となりかねない。学童保育の定員拡充によって小1の壁が解消されるかに注目だ。
厚生労働省のプランでは、学童保育の定員拡充の他にも放課後児童支援員の研修体制の整備など、質の向上も図る予定だ。さらに多くの児童が学童保育を利用できるよう、与党内には文部科学省所管のすべての児童を対象としている「放課後子ども教室推進事業」などとの連携を提言する声もある。放課後に子供を預ける時間が短ければ放課後子ども教室を利用し、その後必要に応じて学童保育を利用すれば、待機児童のさらなる解消に役立てる可能性がある。待機児童の問題が経済活動に与える大きな影響について考えると、省庁横断による解決策が一層急務だ。(編集担当:久保田雄城)