電気自動車の技術を考えるうえで最も大切なことは、その動力源となる電池である。しかし、自動車を動かすほどの電池ともなればその容量もそれに伴い大きなものが必要であり、電池容量が多くなればそれだけ充電に必要な時間も長くなる。この点が電気自動車の普及のハードルとなっており、この点については新たな技術の開発が求められている分野でもあった。そんな電気自動車用の充電の問題について、これまでよりも性能を向上させたシステムを開発したと日本電産<6594>が発表した。
実際に開発に成功したのは日本電産の子会社である、日本電産ASI株式会社(NASI)。このNASIが開発した新たなシステムの大きな特徴は、充電時間の短縮にある。この製品は、充電するためのスタンドと国内配電網との間に設置することを想定しており、充電に必要なスピードは世界最高クラスのスピードともいわれている。また、NASIの開発した充電システムのもうひとつの特徴は充電効率の高さである。わずか15分以下という短い充電時間でありながら、一度の充電でおよそ500kmの走行が可能となっている。短い充電時間で高い効率の充電ができるというのは電気自動車の中でも特に重要なニーズとなっているが、NASIが開発したこのシステムは、まさにそのニーズに応えるものといえるだろう。
NASIの開発した新たな充電システムにはもうひとつ特筆すべき性能がある。それは、システムのサイズが小型であるという点だ。小型であればそれだけ様々な用途への転用もしやすく、システムそのものの構築もしやすいというメリットがある。電気自動車の分野は高い将来性を持った分野であり、今後の普及においてシステムの構築が容易であるということは非常に重要なポイントともなる。その意味ではNASIの開発したシステムは、電気自動車の普及という点で最適ともいえるシステムである。
電気自動車の研究や開発は現在世界中で進められており、近い将来自動車産業は電気自動車が主役になる時代が来ることは想像に難くない。そんな電気自動車が普及した未来像の中には、高性能な充電システムと電気を効率よく蓄えることができる電池の存在が欠かせない。NASIの開発した新たな充電システムは、そんな新たな電気自動車の未来を感じさせるものとなっている。実際の普及においてはまだまだ多くの課題があるものの、期待が高まっている。(編集担当:久保田雄城)