富士経済がHV・PHV・EVの世界市場調査結果を発表。2017年のHV・PHV・EV市場は324万台で前年比124.6%増の高い伸び。35年の予測では、PHVを欧州、中国がけん引し拡大。EVでは中国の注力により拡大と予測。
アジア地域の新興国をはじめとして世界経済は現在、めまぐるしい成長を遂げている。世界の人々がより豊かになることは歓迎されるべきことだが、一方でエネルギー資源の枯渇や環境破壊といった問題も生じてくる。国際社会は既に持続的な経済の実現に向けて環境規制を強化している。自動車の分野ではこうした環境規制に対応するため環境にやさしい次世代の自動車として電気自動車への期待が高まり、既に一部では商品化されている。
総合マーケティング業の富士経済がHV(ハイブリッド自動車)、PHV(プラグインハイブリッド自動車)、EV(電気自動車)の世界市場について調査を行い、その結果を「2018年版HEV、EV関連市場徹底分析調査」として取りまとめ公表した。
報告書によると、2017年のHV、PHV、EVの世界市場規模は324万台で前年に比べ124.6%の高い伸びになっている。現況ではHVが市場をけん引しているが、25年以降はPHVとEVの伸びが加速し、競合しながら市場をけん引する主力となり、35年にはPHVが1243万台、EVは1125万台にまで達すると予測されている。一方、HVは緩やかに伸長するという見込みだ。
地域別での予測をみると、日本市場では、当面HVが主流になると見込まれ、35年にはHVの販売台数は131万台に達すると予測されている。日本の自動車市場は縮小傾向にあるが、電動自動車の需要は確実に増加しており、この為30年以降はPHV、EVの販売比率は高まると予測されている。
北米市場はZEV規制によりメーカー各社がPHV、EVの販売を強化して行くと見込まれるものの、ガソリン安から内燃車への需要は継続し、35年のPHVとEVの販売シェアは北米市場の17.6%にとどまる予測だ。
欧州市場では環境規制と補助金によってPHV、EV市場は確実に成長するものの政府からの補助金無しには需要創出が困難な状況が続き、35年でのPHVとEVの販売比率は欧州全体としては27.4%となるが、財政力の弱い南欧や東欧では内燃車中心が続くと予測されている。
中国は電動自動車産業を育成し、自動車産業の競争力を高める政策をとっており、当面は外資系との合弁規制を緩和しEVシフトを展開する構えである。しかし、充電設備の前提となる電力供給インフラの拡充に時間を要し、内陸部を含む市場全体に需要が拡大するには今後10年以上の年月が必要と予測される。(編集担当:久保田雄城)