2018年春、賃上げ実施企業は全体の8割。離職防止も目的

2018年07月11日 06:26

画・2018年春、賃上げ実施企業は全体の8割。離職防止も目的。

東京商工リサーチが2018年度「賃上げに関するアンケート」の調査結果を公表。本年春に賃上げを実施した企業は82.2%

 アベノミクスの重要な柱である大胆な金融緩和は2%をターゲットにしたインフレ基調を作り出すことにある。インフレ基調で賃金が上昇し資産目減りを配慮した消費者が前倒し消費を行うことで景気が刺激されると言うものであった。

 しかし、実績を見ると賃金の上昇が物価の上昇に十分追い付いていけず、むしろ消費が低迷している常態となっている。政府はこれに対して経済界に賃上げを促すなど「官製春闘」とも呼ばれる状況が続いている。

 こうした状況の中、東京商工リサーチが5月下旬、2018年度「賃上げに関するアンケート」調査を実施し7408社から有効回答を得て、その集計結果を公表した。

 調査結果によれば、「今年度、賃上げを実施したか」という問いに対して、「実施した」と回答した企業は6086社で全体の82.2%となり8割以上の企業で賃上げを実施している。

 規模別にみると、資本金1億円以上の大企業では「賃上げを実施した」が880社で構成比は84.6%、「実施していない」が160社で同15.4%となっている。一方、資本金1億円未満と個人企業等の中小企業では「賃上げを実施した」が5206社で81.8%を占め、「実施していない」は1162社で18.2%となっている。賃上げ実施の割合は大企業が中小企業より2.8ポイント多くなっているが大きな差は見られないと言える。

 「賃上げを実施した」と回答した企業に「賃上げした理由」を尋ねたところ、5384社から回答を得て、「雇用中の従業員の引き留めのため」と回答した企業が2735社で回答企業の50.8%と過半数を占め最も多くなっている。

 離職防止を理由としてあげた企業の内訳を規模別に見ると、大企業が42.2%に対し中小企業では52.1%と半数を超え、中小企業の方が9.9 ポイント多くなっている。 調査結果の全体から中小企業の賃上げへの積極的な姿勢がみられるが、「これは中小企業ほど、人手不足が深刻な状況の裏返しと受け取れる」とリポートの中でも指摘されている。

 逆に「賃上げしない理由」では「景気の見通しが不透明であるため」が最も多く、規模別に見ると大企業で29.1%、中小企業で41.8%と中小企業の方が12.7ポイント多くなっている。 リポートでは「賃上げができない企業は求人難に加え、退職が加速する可能性もあり、中長期的には業績への影響も危惧される」と指摘している。(編集担当:久保田雄城)