菅義偉官房長官は比例代表に特定枠(拘束式名簿)を設けることを含む参議院定数「6増」の公職選挙法改正案(自民案)が自民、公明の賛成で成立したことについて18日午後の記者会見で記者団から国民の理解が得られると思うかと問われ「政府の立場でコメントすべきでないと考える」と回答を避けた。
菅官房長官は「参議院の選挙制度にかかわる問題であり、議会政治の根幹にかかわる問題で、各党各会派で議論いただくべきこと。政府の立場でコメントすべきではないと考える」とのみ答え、いつもは政府としてのコメントを控えても「一般論として」とコメントするのだが、ここも控えた。
参院本会議で法案成立直後の安倍晋三総理は笑顔だった。総理としての笑顔か、自民党総裁としての笑顔かはわからない。
野党からは批判が相次いだ。立憲民主党の辻元清美国会対策委員長は「このご時世、参院の議員定数を増やす法案を強行するのは言語道断。自分たちが有利になる選挙制度の強行は自民党の横暴ここに極まれり」と批判。定員増に反対の意見を述べていた自民議員が本会議では賛成票を投じたことにも「情けない」と批判した。
国民民主党の玉木雄一郎代表は「こんなことがまかり通るのであれば、何でもありの国になってしまう」と自民、公明の強行採決を非難したうえで『自民党の自民党による自民党のための6増法案』など許されるわけがない。本当にひどいと言わざるを得ない。天下の悪法だ」と語った。
日本共産党の塩川哲也衆院議員は「多数党が自らに都合のよい制度に変えることを強行すれば、議会制民主主義を破壊することになる。到底許されない。特に比例代表への特定枠持ち込みは合区により立候補できない現職候補者を救済する自民党の都合による党利党略。特定枠候補への個人名投票も認めているので、1万票で当選する候補もいれば、50万票でも落選することになる。(自民案は)矛盾だらけ」と指摘した。
社会民主党の吉川はじめ幹事長は「比例代表選挙の定数を4増やし、非拘束方式と拘束方式を併用して合区で立候補できない自民党候補を特定枠で当選させ救済しようという党利党略そのものにほかならない」と非難した。(編集担当:森高龍二)