景気回復が続く中、生産年齢人口は減少傾向だが就業者数は増大傾向で推移している。求人倍率は求人数が増大している一方、求職者数は減少しているため極めて高い水準で推移している。雇用環境は完全雇用の状態で、勤労者にとっては改善が続いている状況と言えるが、企業側にとっては既に人手不足倒産も増加傾向で厳しい状況が続いていると言える。
9日、厚生労働省が「平成29年雇用動向調査結果の概要」を公表した。報告書によれば、2017年1年間の入職者数は788.2万人、離職者数は734.5万人で差し引き53.7万人の入職超過となっている。入職率は16.0%で前年比0.2ポイントの上昇、離職率は14.9%で0.1ポイントの減少となり、入職超過率は1.1ポイントで0.2ポイントの上昇となった。
就業形態別に見ると、一般労働者では入職者数が457.8万人、離職者数が437.6万人で差し引き20.3万人の入職超過となっている。パートタイム労働者では就職者数が330.4万人、離職者数が296.9万人で差し引き33.4万人の入職超過となっている。
男女別に見ると、男性の入職率が13.8%、離職率が13.0%で入職超過率は0.8ポイント、女性では入職率が18.7%、離職率が17.2%、入職超過率は1.5ポイントと女性での超過率が高くなっている。前年比では男性の入職率は上昇、離職率は横ばいとなっている一方、女性では入職率、離職率ともに減少している。
産業別にみると、宿泊業・飲食サービス業で入職率が33.5%、離職率が30.0%と最も高く、次いで生活関連サービス・娯楽業で入職率が21.4%、離職率が22.1%と続く。16産業のうち12産業で入職超過となっており、金融業・保険業など4産業で離職超過となっている。
離職理由についてみると、結婚、出産・育児、介護・看護、その他など「個人的理由」によるものは11.1%で前年と比較し0.4ポイント上昇し、経営上の都合、出向または復帰などの「事業所側の理由」によるものは0.9%で0.2ポイント低下した。長期傾向を見ると「個人的理由」は11年頃より上昇傾向、「事業所側の理由」は09年より低下傾向にある。
女性で出産・育児を理由とする離職率は30~34歳で最も高く6.7%で前年4.2%と比べ増加している。介護・看護による離職率は男性の60~64歳のパートタイムで0.6%と最も多く、女性では55~59歳のパートタイムで1.2%と高くなっている。(編集担当:久保田雄城)