人材不足倒産増加 企業の対策急務

2018年08月02日 07:00

画・人材不足倒産増加 企業の対策急務

2018年上半期だけで従業員不足や新規雇用の難しさを要因とする倒産が70件発生し半期ベースで過去最多を更新した。今後は高齢者、女性、外国人など、今まで雇用の機会が限られていた人材を発掘し積極的に雇用していく柔軟さが企業に求められていると考えるべきだろう。

 人材不足が日本経済に暗い影を落としつつある。多くの業界で人材不足に苦労している企業が増えてきているからだ。帝国データバンクが全国約1万社を対象に実施した「人材不足に対する企業の動向調査(2018年4月)」によれば、18年上半期だけで従業員不足や新規雇用の難しさを要因とする倒産が70件発生し半期ベースで過去最多を更新した。

 人材不足倒産は特定の業界に限られている話ではない。帝国データバンクの過去の調査をさかのぼってみてもそれは明らかだ。18年上半期の場合、人材不足による倒産が最も多かったのはサービス業であった。しかし5年半に渡る調査では累計倒産件数が最多なのは運送業、続いて老人福祉事業、建築業と続く。特定の業界にだけ人材が集まらないというわけではなく、企業が求める人材の数に供給が追い付いていないというのが現状なのだ。人材不足はただ業務が停滞するというだけでなく、企業の存続を危うくする段階まで来ているということになる。

 しかし人材不足による倒産の増加を歓迎する声も聞かれる。もちろん倒産自体は決して喜ぶべきことではないが、倒産によって労働者が有効活用されると見る向きもある。つまり倒産してしまう企業は利益を十分上げられずに従業員に対する待遇改善が行えないが、倒産後により業績の良い企業に再就職した労働者は元いた会社よりも好待遇で働ける可能性が高くなるということだ。現在ではどの業界も人材不足であるため、たとえ倒産によって職を失ったとしても再就職先を見つけることはそれほど難しくなくなってきている。これも労働者が危機感を抱きにくくなっている理由だ。ただし、人材不足によって中小企業の倒産が相次いでいる今の状況は健全な状態とは言えないだろう。企業は今いる人材を手放すことがないように処遇の改善や賃上げなどの策を練らなければ現状を変えることはできない。今後は高齢者、女性、外国人など、今まで雇用の機会が限られていた人材を発掘し積極的に雇用していく柔軟さが企業に求められていると考えるべきだろう。(編集担当:久保田雄城)