アニメ制作の市場規模、2000億円超。1社当たり収入も7年ぶりに8億円台に

2018年08月20日 06:30

画・アニメ制作の市場規模、2000億円超。1社当たり収入も7年ぶりに8億円台に。

帝国データバンクがアニメ制作企業の経営実態調査の結果を公表。2017年のアニメ制作企業の収入高合計は2037億2100万円。2000億円を突破、過去最高を更新。1社当たり収入高は8億800万円、7年ぶりに8億円台。

 アニメはかつてサブカルチャーの一コンテンツに過ぎなかった。しかし、その時でさえアニメの市場はそれなりの市場規模をもっていた。電器街の東京秋葉原がアニメコンテンツの街に変容してから20年以上は経つ。

 さらに近年では映像文化としてのメジャーな地位を確立してきたといえる。来日する外国人の中には日本のアニメを見て日本に興味を持ち始めたという者も少なくない。アニメの舞台となった地域が巡礼地として観光スポットとなる事例も少なからず出現し、地域活性化のためのコンテンツとしても注目を浴びている。

 マーケティングコンテンツとしてアニメコンテンツの価値は確実に高まっており、動画配信大手によるアニメ制作への新規参入など、アニメ産業を巡ったビジネス面での動きも活発化しているようだ。

 10日、帝国データバンクがアニメ制作企業の経営実態調査の結果を公表した。調査結果によれば、18年7月時点でアニメ制作企業と同定された企業は255社、このうちの約9割が「東京都」に本社を置いている。

 その企業規模別をみると、収入高、資本金、従業員数ともに中・小規模の企業が半数以上を占めている。設立年別にみると、2000年以降に設立された企業が150社で全体の58.8%を占め、約6割が業歴の浅い新興制作企業である。

 市場規模を見ると、17年のアニメ制作企業の収入高合計は2037億2100万円で前年比8.2%の高い伸びで、11年以降7年連続で前年を上回り、調査開始後初めて2000億円を突破した。

 平均収入高は8億800万円で前年比は6.0%の増加となり、5年ぶりに前年の水準を上回って7年ぶりに8億円台へ回復した。これは大手制作企業を中心に業績が回復したことが寄与しているとみられる。

 ここ十数年の市場動向を見ると、06年以降DVD販売等アニメコンテンツ販売が大きく落ち込み「アニメバブルの崩壊」と呼ばれる状態であった。この需要面での低下に加え、中国や韓国、東南アジア企業の日本市場への参入、さらに国内制作企業の新設増加で制作市場は過当競争の様相を呈し、平均収入高はピークである07年の6割程度まで落ち込んだ。

 近年では制作本数が増加傾向にあるもののプロデューサーやアニメーターが不足しており、また外注費の高騰によって受注制限を行わざるを得ない企業も現れ始めている。こうした厳しい状況の中、17年の平均収入高はかろうじてピークの7割程度まで回復したというのが現況のようだ。(編集担当:久保田雄城)