矢野経済研究所がインターネット広告市場調査の結果を公表。2017年度のインターネット広告国内市場規模は1.3兆円、前年度比111.7%。インフィード広告や動画広告の拡大を背景に運用型広告が市場拡大を牽引。
メディアの多様化によって企業のマーケティング戦略も時代に合わせて大きく変わっていかなければならない。広告費ベースで見ると、これまでテレビ広告が圧倒的なシェアを占めてきた。しかし、インターネットの登場によって企業の広告戦略はインターネットにシフトし続け、この20年にネット広告費は2桁台の勢いで増加し続けており、これがテレビの広告費を上回るのは既に時間の問題だと言われている。
8月23日、矢野経済研究所が国内のインターネット広告市場調査の結果を公表した。レポートによれば、2017年度の国内におけるインターネット広告の市場規模は1.3兆円で前年度比111.7%の高い伸びとなっている。今年18年度中に1.5兆円を超える見込みで、22年度には約2.4兆円まで達すると予測している。
現在の状況はPCブラウザ向け広告に比べスマートフォン広告が市場を牽引している状況で、広告種別では見込み客を絞れる検索連動型広告や一括出稿と効果測定が容易なアドネットワークなどが好調であり、広告効果をフィードバックできる運用型広告が拡大している。広告フォーマットでは、コンテンツの間に広告を挟み込むインフィード広告や動画広告が拡大している。メディア別にはソーシャルメディア上で広告を展開するのが主流となってきているようだ。
近年注目される動向は動画広告の拡大だ。この動向の背景にはYouTubeに代表されるような動画プラットフォームでの動画広告配信の拡大やインフィード広告での動画フォーマットの導入などが考えられる。
今後もユーザーの動画視聴環境は向上し続けることは確実で、広告配信事業者による動画広告枠も拡大し、広告主の動画広告需要は増加傾向で推移し市場拡大を牽引して行くと考えられる。特にソーシャルメディアなどのメディアにおいて、動画フォーマットが増加しているため広告主における動画広告への需要は大幅に増加すると見込まれる。
企業は投資効果を重視するようになってきており、広告の効果測定はマーケティング戦略上重要な課題だ。他の既存メディアに比べインターネット広告は効果測定をより迅速に正確に行うことが可能だ。広告配信事業者もこの点を重視し、運用型広告の新しいサービスが次々と登場し市場を拡大して行くと期待される。(編集担当:久保田雄城)