政府は女性活躍推進のほか全ての人が活躍できる社会を創出することを政策に掲げている。背景には少子化による生産年齢人口の減少にともなう人手不足の克服などもあるが、女性にとって働き安い就労環境の実現は現在の就業人口を増大させるだけでなく少子化を克服し将来の労働力の確保にもつながるものだ。
こうした背景の中、企業における人事労務制度の改善の取り組みも積極的に行われている。民間の調査期間である労務行政研究所が上場企業および上場企業に匹敵する非上場企業440社を対象にして人事労務諸制度の状況について調査し、5日にその集計結果を公表した。
調査結果によれば、2018年4月までにセクハラ防止規程を設けている企業の割合は69.3%で、5年前の前回調査の49.5%と比べ19.8ポイントの大幅な増加となっている。初回の調査である01年には41.9%であり、この5年で特に大幅に増加し7割近くに達している。
また、パワハラ(モラハラ)防止規程を設けている企業は56.4%で前回と比べ23.2ポイントの増加で、今回調査された18項目の中で最も増加幅が大きくなっている。
女性の活躍推進、働き方改革などで注目度が高まっている旧姓使用、在宅勤務制度、フレックスタイム制の3項目についてみると、旧姓使用を認めている企業の割合は67.5%で7割近くに達している。フレックスタイム制については実施している企業は35.5%、在宅勤務制度については実施率11.8%となっている。
従業員規模別に実施率を見ると、旧姓使用については300人未満で62.0%、300~999人で69.6%、1000人以上で71.9%となっており規模が大きくなるに従い高くなる傾向があるものの300人以上の企業で全体平均を超えており、規模による大きな格差は無い状態だ。
一方、フレックスタイム制では300人未満が25.8%、300~999人が29.7%、1000人以上が52.5%、在宅勤務制度では300人未満が4.9%、300~999人で9.4%、1000人以上が22.3%と規模による格差が大きくなっている。
育児・介護と仕事の両立支援施策の一つでもある「在宅勤務制度」の実施率は、04年には1.9%であったので、1割を超えた18年は9.9ポイントも増加したことになるが未だ実施率は低い現状と言える。制度によって進捗にはバラ付きが見られるものの全体として改善傾向で推移していることは間違いない。(編集担当:久保田雄城)