ロシアのプーチン大統領がロシア・ウラジオストクで開かれている東方経済フォーラムの12日の全体会合で、安倍晋三総理が日露平和条約締結への協力を呼び掛けたのを受け「年末までに前提条件を付けず、平和条約を締結し、係争中の問題についてはその後話し合いを続けよう」と提案した。
河野太郎外務大臣は12日の記者会見で「(今月10日の)日露首脳会談でもそんな話はなかったと聞いている。日本政府としては北方四島帰属の問題を解決し、平和条約を締結するという考え方に全く変わりない」と答えた。
菅義偉官房長官も同日の記者会見で10日の日露首脳会談でもそんな提案はなかったとし、これまでの政府の方針に変わりないとした。
安倍総理は外交ルートを通じてプーチン大統領の発言の真意を探り北方領土問題と平和条約締結へ前進への道筋を探りたいもよう。北方領土問題を後回して平和条約を締結すれば領土問題解決への交渉が一層難航することになる可能性がある。
日本共産党の志位和夫委員長は、プーチン大統領の発言報道に「驚きのニュース。平和条約締結は両国の国境の公式の画定という意義を持ち、『条件なし』での締結は領土要求の全面放棄となる」と警戒。「(安倍総理は)目の前で言われて抗議一つしないとは、何という屈辱外交か」とツイッターに書き込み、抗議しない総理の姿勢を問題だとした。安倍総理は全体会合での場だけに抗議せず、発言の真意を確かめることを優先。慎重な対応をしたものとみられる。(編集担当:森高龍二)