「子どもの貧困」7人に1人 貧困の世代間連鎖「あると思う」約9割

2017年12月27日 06:08

画・「子と_もの貧困」7人に1人 貧困の世代間連鎖「あると思う」約9割

日本で相対的貧困状態にある17歳以下の子どもの割合は、2015年時点で13.9%。「7人に1人の子どもが貧困状態にある」といわれており、貧困の世代間連鎖による社会的損失が懸念されている。

 日本で相対的貧困状態にある17歳以下の子どもの割合は、2015年時点で13.9%。「7人に1人の子どもが貧困状態にある」といわれている。こう言われていまいちピンとこないのは、貧困の定義について知る機会が少ないからなのかもしれない。貧困の指標には一般に、「相対的貧困」と「絶対的貧困」が用いられる。「絶対的貧困」とは、人間として最低限の生活をも営むことができないような状態を指す。一方、「相対的貧困」は主に先進国で用いられる指標で、国民として定められた一定の水準(貧困ライン)に満たない暮らしを強いられている状態のことを指す。

 2015年の国民生活基礎調査によると、貧困ラインは122万円。衣食住はギリギリ賄えるが、社会の中で「普通」とされる機会を得られない状態といえる。日本の貧困率は16.1%(2012年)から15.6%(2015年)へと若干減少しているが、OECD平均が2010年時で11.3%、ヨーロッパや北米等の先進諸国と比べても依然高い水準といえる。貧困ラインは等価可処分所得の中央値の半分という算出の仕方をする為、貧困ラインの倍の金額が日本の中央値となる。

 貧困ラインの年次推移を見てみると、1997年に149万円、2015年には122万円となっている。1997年には298万円だった中央値が、2015年には245万円、18年間でおよそ43万円も下がっている。貧困率は改善傾向といえそうだが、一般的にみえづらいとされる「相対的貧困」が増え、低所得者層は厚くなるばかりだ。貧困ラインがこれ以上下がると、衣食住がままならない「絶対体的貧困」へと至る可能性も危惧される。

 厚生労働省が2017年に出した「ひとり親家庭等の現状について」によると、ひとり親家庭の相対的貧困率は50.8%となっており、ひとり親家庭の子どもたちの2人に1人が貧困状態にあるという。大人が2人以上いる家庭の相対的貧困率は10.7%。ひとり親家庭の相対的貧困率は、そうでない家庭の約5倍もの数値となっている。国民生活基礎調査では、生活が「苦しい」と答えた人が56.5%、母子世帯では82.7%が「生活が苦しい」と回答しているデータもある。

 母子世帯の生活困窮は喫緊の課題であり、二次的な問題を発生させる懸念もある。それが貧困の世代間連鎖だ。「子どもの貧困に関する意識調査」によると、子どもの貧困は、世代を超えて連鎖することが多いと思うかについて、「そう思う」(58.1%)「ある程度連鎖することが多いと思う」(36.6%)と考える回答が、あわせて9割を超えている。

 低所得世帯では質的・量的に教育を受ける機会が減少し進学率が低下、非正規やフリーター、ニートが増える。その結果、給与所得が上がらず社会保障や税金の納付額も減っていく。出生率は減少する一方、公的支出の負担は増え、国家も国民も疲弊していくことに繋がりかねない。貧困の世代間連鎖を続けていくことは社会にとっての巨大な損失である事を再認識し、負の連鎖を断ち切る為に社会全体の問題として捉えていく必要がありそうだ。待機児童問題にしろ、働き方改革にしろ、貧困問題にしろ、共通していえるのは、とにかく安心して暮らせること(最低限でも)を国民は求めている、という単純な事実なのかもしれない。(編集担当:久保田雄城)