虹色ダイバーシティと国際基督教大学が「niji VOICE 2018 ~LGBTも働きやすい職場づくり、生きやすい社会づくりのための『声』集め~」調査を実施。LGBT施策が行われていない企業71.2%。
複数の与党政治家の不適切な発言によってマスコミでもクローズアップされたLGBTの問題、以前より東京の自治体では同性愛カップルを婚姻関係にあるものと同等に扱う為の証明書を発行するなど一定の人権の配慮がなされて来た。
特定非営利活動法人「虹色ダイバーシティ」と国際基督教大学ジェンダー研究センターは、共同調査として「niji VOICE 2018 ~LGBTも働きやすい職場づくり、生きやすい社会づくりのための『声』集め~」を実施、9月時点での速報値として、一部項目の集計データを公表した。
集計結果によれば、この1年以内に職場で差別的言動を頻繁に見聞きしているLGBTは回答者の45.8%であった。具体的には、性的指向や性自認に関連する言動として「誰かが同性愛者なのではないかと噂する」のを見聞きしているLGBTが33.3%、「誰かの性別を勝手に推測したり、噂したりする」が21.2%となっている。求職時に性のあり方に関連した困難を経験している人はシスジェンダーのLGB他で29.7%、トランスジェンダーで61.4%存在する。
「職場でLGBT施策が何も行われていない」と回答したLGBTは71.2%にのぼり、「職場に理解者・支援者がいない」という回答したLGBTは58.8%にのぼり、職場におけるLGBT施策が未だ不十分であり職場で当事者が孤立している状況が伺える。
LGBTのうち「パートナーがいる」または「いた」という者に差別的取り扱いを受けた経験について質問したところ、「パートナーの親族扱いを否定された」が19.6%と最も多く、次いで「職場の家族向けの休暇や手当の対象にならなかった」が13.8%、「家族割引などの特典を受けられなかった」が同じく13.8%などが多くなっている。
「慢性的な病気または長期にわたる健康上の問題」に関する質問では、LGBTで「うつ病」を抱えていると回答した者の割合は14.2%で、心理疾患尺度でみるとLGBTの方が一般に比べ抑うつ・不安傾向が高いという結果が出たとしている。
調査を主催した虹色ダイバーシティは「性的マイノリティが、どの職場においても、性的指向・性自認・ジェンダー表現に関して、不当に貶められず、公正に扱われ、周囲の人と協力しながら、心身の健康を気遣い、いきいきと持てる力を発揮できる社会を目指して活動していく」としている。(編集担当:久保田雄城)