フェラーリ、4年で売上5割アップを目指し、遂にブランド初となるHV、SUVを発表

2018年09月26日 06:25

Ferrari_HV_SUV

2019年から4年間の中期経営計画を発表したフェラーリ。「プロサングエ(純血)」と呼ぶグランツーリズモレンジとして開発を進める同社初のフロントミッドシップSUV発表も含む。写真は「フェラーリF12ベルリネッタ」

フェラーリは9月18日、本拠地の北イタリア・マラネロで投資家向けの発表会を開催し、7月に急逝したセルジオ・マルキオーネ前・最高経営責任者(CEO)を継いだ新CEOルイ・カミレリ氏が2019年から2022年まで4年間の中期経営計画を発表した。

そこには2022年に新車販売台数の6割をハイブリッド車(HV)にするなどを柱とする商品計画が含まれ、2022年には市場が拡大しているSUVにも参入する。生産台数を抑えてブランド価値を高めてきたフェラーリが、環境規制や市場の嗜好変化に対応する姿勢を示した。

 計画のなかには4年間で15車種の新型車を投入し、売上高を2017年の34億ユーロ(4400億円)から50億ユーロへ増やす。発表のなかで、カミレリCEOは「5割アップという野心的な計画だが、達成可能だ」と強調した。

 計画の達成には4年間の研究開発費を含む投資額を36億ユーロとし、2017年までの5年間の倍以上とする。販売を増やすことで指標とする純利益についても2022年で、2017年の倍、約20億ユーロに引き上げる計画だ。

 計画達成に要する販売台数は非公表だったものの、2017年の販売8400台から大幅に増えることは間違いない。生産台数が年間1万台を超えると自動車メーカーとして各国の環境規制を満たす必要が出る。HV化はそのための必須要素だ。

 最高技術責任者(CTO)のミカエル・ライター氏によれば「環境規制対応の目的もあるが、運転する楽しみも同時に引き上げる」と述べ、同社のF1テクノロジーを応用したハイブリッド技術でパワートレーンの性能を高め、同時に環境性能を上げ、平均価格も引き上げるとの考えを示した。内燃機関を搭載しない純電気自動車の開発は否定した。

 競合するランボルギーニなど高級スポーツメーカーが相次いでSUVを投入しているなかで、2022年に発売を予定する同社初のSUVは、「プロサングエ(純血)」と呼び、4座スポーツのグランツーリズモレンジとして開発を進める。カミレリCEOは「これまでフェラーリにはないが、紛れもないフェラーリになる」とした。

 ハイブリッド化やSUVの投入は、収益拡大に貢献するが、これまで連綿と築き上げた世界屈指のスポーツカーブランドとしての価値を損なうリスクもある。自らもフェラーリのコレクターだというカミレリ新CEOの手腕が問われる。(編集担当:吉田恒)