厚生労働省はパワハラの防止策の策定を企業に義務付ける法整備を行う方向で検討に入った。パワハラが社会問題になりつつある中、国としても職場環境の改善に力入れたいところだ。働き方改革などが推進される中、離職率の低減や職場の人間関係の改善に期待がかかる。
パワハラとはそもそも「職場内の地位や人間関係などの優位性を利用して、業務の適切な範囲を超えて精神的・身体的苦痛を与えること」と定義される。今までは叱咤激励で通っていたことも、今ではパワハラということも十分考えらえるのだ。特に中高年の会社員の中には気づかないうちにパワハラ加害者になっているという人も少なくない。いったいどこまでが指導で、どこからがパワハラなのかという線引きは極めて難しいのだ。働く側としても、パワハラの防止策があれば限度をわきまえることができるだろう。
さらにパワハラは職場内の環境だけでなく、企業の存続自体をも危うくするかもしれない。人材不足が深刻化する中、企業としても人間関係に起因する離職者はぜひとも防ぎたいところだ。実際女性会社員を対象に行われたある調査では、8割程度が会社を辞めたいと思ったことがあり、しかもその中の約8割がパワハラなどの人間関係を理由に挙げた。パワハラの相談件数も年々増加傾向にあり、労災申請がなされるケースもある。企業としてもパワハラに関するガイドラインを作ることにはメリットがあるのだ。
もし厚生労働省主導で法整備が行われれば、企業としてもパワハラ防止策の策定に本腰を入れざるを得なくなる。厚生労働省はパワハラを放置していると見られる悪質企業に関しては公表も辞さない構えだ。もしパワハラへの対策がないと公表されてしまえば、企業のイメージダウンは避けられない。多くの企業がパワハラだけでなく、様々なハラスメントへの防止策を講じることになるかもしれない。働く側が少しでも快適に仕事が行えるように、企業が行うべきことはまだまだ多そうだ。(編集担当:久保田雄城)