東海第2原発、再稼働への新規制基準適合

2018年09月28日 06:44

 原発再稼働への流れが深刻だ。今年11月に40年の運転期限を迎える老朽原発の日本原子力発電東海第2原発(茨城県東海村)について、原子力規制委員会は26日、新規制基準適合を意味する審査書類を正式決定した。

 原発周辺30キロ圏内に約96万人が暮らしている。野党からは「首都圏にある東海第2原発は事故を起こせば取り返しがつかない。『再稼働ありき』で、前のめりに進められた今回の規制委員会の審査書案の正式決定に断固抗議する」と抗議の声が上がっている。

 社会民主党の吉川はじめ幹事長は「東海第2原発は東日本大震災の発生時に原子炉こそ自動停止したものの、津波で外部電源を失い、安定する冷温停止まで通常の2倍を超える3日半を要した原発であり、過酷事故の寸前だったといえる事態を引き起こしている」と指摘。

 そのうえで「今年11月に40年の運転期限を迎えるが、老朽化し、被災した東海第2原発は老朽化も相まって多くのリスクを抱えている。沸騰水型軽水炉としての危険性も指摘され、加えて防潮堤の基礎の液状化、ケーブルの防火対策、水蒸気爆発の危険性なども解決のめどがたっていない」と危険性をあげ、問題視している。

 吉川幹事長は「再稼働には、法令で定める40年の運転期限である今年11月27日までに20年の運転延長など2つの認可を得るほか、県と東海村を含む30キロ圏6市村の同意が必要。規制委員会に対し、今後続く東海第2原発の審査において、スケジュールありきの安易な判断をしないよう求める」と強く要請している。

 日本共産党も機関紙赤旗で「首都圏で唯一の原発で、避難計画の策定が義務づけられた半径30キロ圏に全国の原発で最も多い96万人が暮らす。避難計画の策定は進んでおらず、その実効性など課題が置き去りのままだ」と指摘。

 また「防潮堤液状化対策などで増えた約1740億円の工事費用を原電が負担できるかも審査対象だが、原電が賄えない分を東京電力と東北電力が支援の意思を表明。公募意見で『政府の資金が投入されている東京電力から資金調達するのは道理がない』と批判されている」と東電が支援することにも強い疑問が出ていることも紹介している。

 日本原子力発電は「東海第2発電所の工事計画認可と運転期間延長認可の審査に全力を挙げて対応するとともに、安全対策工事を着実に進めてまいります。これらの内容については自治体及び地域の皆様方に丁寧にご説明してまいります」とのコメントを同日、発表した。(編集担当:森高龍二)