トップダウン型戦略特区では意向入る余地がある

2017年06月06日 06:19

 学校法人加計学園の大学への獣医学部新設に係る問題で、安倍晋三総理が国会答弁などで「私の意向が入る余地などありません」と繰り返し答弁していることに、野田佳彦前総理は「ボトムアップを前提とする民主党政権時代の構造改革特区では総理の意向が入る余地はなかったが、国の主導で規制緩和のメニューや地域、事業者を決める安倍内閣のトップダウン型の国家戦略特区では長年の友人を特別扱いすることは可能」と5日のブログで書き込み、総理の意向が入る余地があるとした。

 また、野田前総理は「加計学園をめぐる疑惑に関連して、次々と新たな事実が明らかになってきた。総理の意向を前川喜平・前文科事務次官に伝えたのは総理補佐官だった、総理が数年間にわたり同学園の役員を務め、その間報酬を受けていたことなど。国家戦略特区の悪用、権力の私物化の疑いはますます深まってきた」とした。

 さらに、野田前総理は「国家戦略特区制度において特区の認定等について中心的な役割を果たすのが、総理を議長とする諮問会議。この会議を巡っては民間議員等が私的な利益の実現を図って議論を誘導し、または利益相反行為に当たる発言を行っているのではないかとの疑惑が、かねてより指摘されていた」とも提起した。

具体例では「昨年7月、神奈川県の特区で規制緩和された家事支援外国人受入事業は、大手人材派遣会社が事業者に認定された。諮問会議の民間議員の中には同社グループの会長がいた。審査する側が仕事を受注したわけで、とても公正・中立とはいえない。農業分野で特区に指定された兵庫県養父市では、その人物が社外取締役を務める企業の子会社が参入した」とこれはこれで、国会で追及すべき問題でもある。

野田前総理は「前川前文科事務次官の『行政が歪められた』という発言の背景には、このような問題意識があるのかもしれない」とし「1日も早く証人喚問を実現し、真実を語ってほしいと思う」と証人喚問の必要を改めて訴えた。(編集担当:森高龍二)