安倍晋三総理は31日の参院本会議で憲法改正について立憲民主党の牧山ひろえ議員に答え、「憲法改正や憲法改正案を今国会に提出することに賛成する方々が一定程度認められる現状」にあるとし、改憲議論に改めて強い意欲を見せた。
安倍総理は「総理として(改憲に)この場で答えるのは控えるが、お尋ねなので申し上げますが、憲法改正について国民的議論を深めるためには、まず具体的な条文案を示す必要があると考える」と答え「憲法改正や憲法改正案を今国会に提出することに賛成する方々が一定程度認められる現状において、議論まで否定すべきものではない」と強調した。
安倍総理は「憲法改正は国会が発議し、最終的には国民投票により決められるものだ」としたうえで「憲法審査会で政党が具体的な改正案を示すことで、国民の理解を深める努力を重ねていくことは、国会議員の果たすべき重要な役割ではないかと考えている」述べた。
また「憲法99条が憲法順守義務を定めているのは、最高法規であることにかんがみ、国務大臣その他の公務員は憲法の規定を遵守するとともに、完全な実施に努力しなければならない趣旨を定めたものであり、憲法の定める改正手続きによる憲法改正について検討し、主張することを禁止する趣旨のものではないと考えている」と自身の発言が憲法遵守義務違反にあたらない、とした。
牧山議員は「総理が提案する(自衛隊を憲法に明記、緊急事態条項など)改憲4項目については世論でも賛否が二分されるテーマ」とし「国民を分断するようなテーマで、憲法改正に取り組むのが本当に正しいと考えるのか。国会議員が先走るのではなく、国民の中から憲法改正をすべしとの声が高まり、機運が醸成されて初めて、憲法改正に取り組むべき」と訴えた。
そのうえで、牧山議員は「立憲主義で憲法に縛られるべき行政府の長が、憲法改正を主張するのは、そもそもおかしいと考えるが総理の見解を伺いたい」と質した。(編集担当:森高龍二)