改憲問題は「自らの問題」としての自覚を

2018年10月28日 10:22

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自民党は改憲勢力が衆参両院ともに3分の2を有している来夏の参院選までに改憲発議し、国民投票に持ち込む構えだ

 自民党は改憲勢力が衆参両院ともに3分の2を有している来夏の参院選までに改憲発議し、国民投票に持ち込む構えだ。安倍晋三総理は今臨時国会の所信表明演説に憲法改正に触れ「国会議員の責任を果たしていこう」と行政府の長であるにも関わらず、立法府に対し改憲議論を進めるよう促した。憲法99条(憲法尊重擁護義務)違反の疑いが濃い。

 自民党の伊吹文明元衆院議長でさえ「総理大臣として、ああいうことを言うのはいいのかな、という感じはした」とマスコミ取材に応じている。

 自衛隊を憲法に書き込むと発言した当初、「総理としてではなく、自民党総裁としての発言」と当時、総理として憲法尊重擁護義務を何とかセーブしていたが、最近は自衛隊記念日観閲式でも、総理の訓示で「自衛隊の存在は、かつては厳しい目で見られた時もあった。全ての自衛隊員が強い誇りを持って任務を全うできる環境を整える。今を生きる政治家の責任。私はその責任をしっかり果たしていく決意」と持論の「自衛隊の憲法明記」を約すような発言をした。もはやなりふり構わず「改憲ありき」の姿勢。

 安倍総理の所信表明演説に自民党の二階俊博幹事長は「ここに来て総理も大いに意欲を持っておられ、チャンス到来と思っている。しっかりやっていきたい」と改憲に対し、衆参両院で3分の2の賛成による発議という高いハードルをクリアできるこれが最後のチャンスのような焦燥感や来夏の参院選への危機感があるイメージさえ受ける。世論はそこまで改憲を急いでやるよう求めていない。

 第4次安倍改造内閣は全閣僚が改憲推進派団体を支援する国会議員懇談会に所属している。党の要職においても安倍総理に近い人物で固め、憲法改正を主眼に配備した体制と思える。その筆頭といえる下村博文党憲法改正推進本部長が26日、国民投票や改憲機運を盛り上げる狙いから全国289の衆院選挙区ごとに「改憲推進本部」を設置し、党の考えを浸透させる考えを示した。

 自民党は改憲項目に4項目を挙げているが「自衛隊の憲法明記」と「緊急事態条項」はすべての国民が自らの問題として真剣に考えるべき最重要案件と受け止めなければならない。安全保障のみでなく、基本的人権に大きくかかわる条項になるからだ。

 自民党は9条について素案で「必要な自衛の措置」との表現でフルスペックの集団的自衛権に可能性を開いている。国民民主党の玉木雄一郎代表は「安倍総理が示した憲法に自衛隊を明記する案については『必要な自衛の措置をとる』と案文に記載されていることが自衛権の範囲を無限に広げ、フルスペックの集団的自衛権も認められる余地があり、自衛隊を憲法に明記しても『何も変わらない』と安倍総理が発言していることにはごまかしがある」と指摘する。

 また緊急事態条項では「大地震その他、異常かつ大規模な災害により、国会による法律の制定を待ついとまがないと認める特別の事情があるときは、内閣は法律で定めるところにより、国民の生命、身体及び財産を保護するため、政令を制定することができる」「内閣は、前項の政令を制定したときは、法律で定めるところにより、速やかに国会の承認を求めなければならない」とする素案に対して、社民党は「その他の異常かつ大規模な災害」に「武力攻撃災害」が含まれる余地は十分残されている」とし「他国と武力衝突が起きたときに、政令のみで国民の権利を制限することができるようになる」と警鐘を鳴らす。

 加えて「国会の承認規定」について「多数与党の際には民主的抑制機能に疑問があり、歯止めにはならない」とした。このことは安保法制や特定秘密保護法、参院定数6増の改正公職選挙法など、数の力で押し切ってきた一連の法案審議が実証している。国民が自らの問題として改憲案を学び、検証することこそ必要だ。(編集担当:森高龍二)