外国人労働者「日本人と同等報酬確保」総理答弁

2018年11月08日 08:10

 安倍晋三総理は7日の参院予算委員会で日本共産党の小池晃書記局長の問いに答え「外国人技能実習生制度で一部の管理団体や受け入れ企業で賃金不払いや長時間労働などといった労働関係法令違反などの問題が生じていると承知している」と法令違反の深刻な問題が発生していることを認めた。

 そのうえで外国人労働者の受け入れ拡大へ「新たな制度では日本人と同等の報酬をしっかり確保するとともに受け入れ機関、登録支援機関による各種支援の実施、外国人の活動状況の的確な把握、関係機関と連携した調査や指導を行う」ことで、トラブルが発生しないようつとめる旨を強調した。

 ただ、昨年だけで7000人以上が失踪し、今年上期だけで4000人以上が失踪している事実に対し、安倍総理は「失踪する技能実習生が増加傾向にあり、制度の趣旨および我が国社会への影響などを鑑みると政府としてもこの問題を重く受け止めている」と答えた。

 山下貴司法務大臣は法務省の調査で失踪者の主な失踪理由について「現状の賃金などへの不満からより高い賃金を求めてのものが約87%、実習修了後も稼働したいとするものが14%、指導が厳しいとするものが約5%と判明している」などと答弁したが、小池議員は「現状の賃金などへの不満からより高い賃金を求めてのものなどという綺麗な表現をしているが、中身は低賃金、契約賃金以下の賃金、最低賃金以下の3つを合わせたものだ」と指摘。山下法務大臣は「そうだ」と認めた。実習生の中には休日が年に10日もないなどひどいケースもあった。

 小池議員は「すでに日本では128万人の外国人の方が働いておられ、中でも、外国人技能実習生制度に大きな問題点が指摘されている。失踪者の87%が低賃金を理由に失踪している事実を放置して外国人労働者の受け入れを拡大するのはあまりにも無責任だ」と政府の拙速な姿勢を改めるよう強く求めた。(編集担当:森高龍二)