モノづくり日本会議と日刊工業新聞社が主催する「2018年 超モノづくり部品大賞」の贈賞式が11月30日、都内のホテルで開催された。新興国が台頭する世界の市場で、それでもメイドインジャパンの製品が重宝されるのは、完成製品の機能性や経済性などを縁の下で支える高品質の部品や部材のお陰だ。同賞では、それらの優秀な部品や部材、それらの製品を通して日本の産業や社会の発展に貢献する企業の努力を称え、さらなる競争力の向上を目的に実施されているもので、今回で15回目の開催となる。
栄えある「超モノづくり部品大賞」に選ばれたのは、日立製作所の「超音波探触子」だ。日本のみならず、世界中で今、高齢化が社会問題となっている。そんな中、より優秀な医療用の画像診断装置が求められているが、日立製作所が受賞した「超音波探触子」はCMUT(静電容量型マイクロマシン超音波トランスデューサ)という半導体技術を応用し、膜振動で超音波の送受信を行う独自技術によって高分解能な撮像が可能な探触子を実用化することに成功。1本の探触子で人体の浅部から深部まで撮影可能な上、画質も従来の1.5倍の鮮明さを可能にした。超音波装置は現在、中国や韓国のメーカーとの競合も激しく、シェア争いが過熱している。日立製作所ではCMUTを用いることで、さらなる画質の向上を目指しており、今後の展開にも期待が持てそうだ。
次点となる「モノづくり日本会議共同議長賞」を受賞したのはロームの「超高速パルス制御技術『Nano Pulse Control』搭載 電源IC」だ。「Nano Pulse Control」は、「回路設計」「レイアウト」「プロセス」の3つの先端アナログ技術を融合することで実現したローム独自の超高速パルス制御技術で、マイルドハイブリッド自動車や産業用ロボット、基地局のサブ電源など、48V系電源システムで駆動するアプリケーションの小型化、システムの簡略化の軽減に大きく貢献するものだ。とくに近年、フルハイブリッド車に比べて燃費改善効率が高く、コストパフォーマンスに優れることで注目されているマイルドハイブリッド車に最適で、「Nano Pulse Control」搭載の電源ICを用いることで、これまで2つ以上の電源ICが必要とされてきた高電圧から低電圧への電圧変換を1つの電源ICで構成できるようになる。日本のこれからの自動車産業の発展に大きく寄与する技術になるのは間違いなさそうだ。
その他、「ものづくり生命文明機構 理事長賞」には、ノリタケカンパニーリミテドの「マイクロナノバブル発生器」が受賞したのをはじめ、合計37社36件に各賞が贈られた。いずれも、今後の日本のモノづくりを支える技術としてふさわしいものばかり。受賞した各部品とその技術を見ていると、日本のモノづくりにはまだまだ大きな可能性が秘められていると感じずにはいられない。(編集担当:松田渡)