失われた30年、平成30年間の上場企業倒産の累計233件、負債22兆円

2019年01月08日 06:10

画・失われた30年、平成30年間の上場企業倒産の累計233件、負債22兆円。

東京商工リサーチが「上場企業倒産状況」を公表。2018年の上場企業の倒産は1件にとどまり、平成30年間累計は累計233件。倒産ブームはリーマンショック、不良債権処理、イラク戦争開戦の順。

 平成31年(2019年)4月末日で平成時代が終わる。平成時代の始まりは1989年1月であったから、平成時代は約30年4カ月ということになる。経済史的には平成は日銀の利上げから始まる。後にバブル経済と呼ばれる状況を沈静化するためだ。

 そのバブル経済の崩壊は翌年の大発会から始まる。3万8957円まで上り詰めた日経平均は大発会から暴落しはじめた。3月には大蔵省が貸出総量規制を再開。経済企画庁は翌91年3月で景気拡張が終結したことを認めた。

 いわゆるバブル崩壊と呼ばれるものであるが、リストラブーム等はあったものの実体経済にはさほど大きな影響は与えていない。実体経済に影響が出始めるのは不良債権処理が本格化する90年代後半からだ。

 東京商工リサーチが18年12月28日時点での「上場企業倒産状況(速報値)」を公表した。これで概ね平成30年間の倒産状況を振り返ることが出来る。まず、2018年中の上場企業倒産は6月に会社更生法を申請した東証1部の日本海洋掘削1件のみであった。ちなみに負債は904億7300万円である。

 89年からの平成30年間の上場企業倒産は、累計233件、負債の合計は21兆9087億円、後にバブルと呼ばれる89年、90年中には上場企業の倒産はない。平成になって初めての上場企業倒産は景気後退後の91年8月に会社更生法を申請した不動産関連のマルコーで負債は約2777億円だった。

 平成に入ってからの倒産ブームの第一波は不良債権処理が強化された小泉政権下の02、03年で48件発生している。次いで08、09年のリーマンショックによる世界同時不況下での53件、その後リーマンショックからの回復に伴い、10年の10件を最後に11年からは2桁を割り込んで1桁ベースで推移している。

 年間ベースで見ると最多はリーマンショック時の08年の33件、次いで不良債権処理時の02年の29件、リーマンショック翌年の09年の20件、イラク戦争のあった03年の19件の順となっており、すべて2000年代である。13年以降は円安、世界経済の回復等を背景に14年、16年のゼロを含め3件以内で推移している。

 バブル崩壊後の90年代は失われた10年などと呼ばれ不況感が強かったように語られるが上で示したように90年代の実体経済はそれほど停滞していない。大きく停滞しデフレへ向かったのは生産年齢人口が減少に反転した97年以降だ。これに不良債権処理に伴う貸し渋り、貸し剥がしが横行し、上場企業の倒産も2000年代に集中している。現在は回復基調が持続している。新しい時代は安定成長が持続するよう期待したい。(編集担当:久保田雄城)