前政策統括官招致賛否で政府与党の本気度鮮明に

2019年02月05日 06:56

 安倍晋三総理は毎月勤労統計での不正や賃金構造基本統計調査での不適切な調査など基幹統計をめぐる一連の不祥事で国民に政府統計に対する信頼が失墜し続けている中、この状をどう受け止めているのかを4日の衆院予算委員会で質され「長年にわたり勤労統計に不正な調査があり、セーフティーネットに対する信頼を損ねたこと、それを見抜けなかったことに対し、国民にお詫び申し上げたい」と陳謝。

 そのうえで安倍総理は「政府統計に対する国民の信頼を損ねる状況になっていると認識している」と述べた。

 一方、委員会での真相解明に欠かせないキーマン「前政策統括官」の大西康之大臣官房付の参考人招致に与党が反対しており、立憲民主党の大串博志議員は「厚労省のみでなく、問題隠蔽に与党も関与しているのか」と参考人招致拒否の自民らを強く問題だと訴えた。

 そのうえで、大串議員は「根本匠厚労大臣は、大西前政策統括官に対して、国会対応の政策統括官任務は引き継いでやってもらうということは大臣の判断でできることだ」とし「指示するよう「やってください」と強く求めた。

 大串議員は新しい政策統括官には今後の統計問題について担ってもらうが、これまでの経緯に関する問題は大西前政策統括官に担ってもらう、ということを大臣は指示すべきとした。議場から拍手が起こった。

 しかし、根本大臣は「国会対応も新しい政策統括官に対応させる」として大串議員の求めを拒否。経緯を最もよく知る大西前政策統括官を予算委員会開催直前の今月1日、大臣官房付に異動させ、口封じともとれる対応からは統計問題の全容解明から逃げる姿勢しか見えず、大串議員は「大臣の事実隠しとしかいいようがない」と非難した。

 それでも根本大臣は「大西前政策統括官を参考人として国会で説明を求めるかどうかは国会で決めて頂ければと思う」などと与党が拒否することを見込んだ答弁で逃げた。与党、政府の全容解明姿勢の本気度は大西氏の参考人招致の賛否対応で鮮明になる。(編集担当:森高龍二)