ITC(情報通信技術)の発展・普及によって企業は自己が顧客に対して行ったアクションの反応を以降の販促戦略にフィードバックできるようになった。
日本人はランキングを重視する傾向がある。マーケティング目標を「顧客満足度ランキングのトップになる」こととしている企業も少なくない。しかし、企業の目的とは事業の継続であり、そのために必要利益を確保することだ。利益確保は売上確保が前提となり、この時たしかに顧客満足度は重要な参考資料となる。しかし顧客満足度のランキングは直接、顧客の購買選択行動に影響し、売上、利益と強く相関しているのであろうか。答えは「No」である。
12日、日本能率協会総合研究所が顧客満足度と商品・サービスの選択との関係について実態調査を実施、その結果を公表した。調査はBtoB(企業対企業)およびBtoC(企業対消費者)取引におけるユーザー側の意識を調査しており、調査対象は20~60代の男女合計6000名、具体的に23種類の商品について選考基準について調査している。
調査結果を見ると、BtoCの「美容家電」では購買選択時の重視点は「商品の特徴」が64.3%で最も多く、次いで「価格の納得感」が42.4%でこの2つが他と比べ高くなっており、以下「入手のしやすさ」21.9%と続いている。一方、「利用者の満足度」は11.6%で重視度は低く、「利用者のクチコミ」も22.2%、「市場での実績」108%など他者の評価はあまり重視されていない。「レンタル衣装」においても「満足度」は6.4%のみでほぼ全ての商品で同様の傾向だ。
これはBtoBでも同様で「満足度調査」の結果を重視した者は最も高いものでも11.6%にとどまり、レポートでは他社の評価は重視されず「自分・自社のニーズや条件に合っているかで選択している」としている。
満足を感じたときリピーターとなり得る要因については、BtoCの「サプリ等」の数字で見ると、「大変満足」の場合は再度「ぜひ選びたい」が73.4%、「どちらかといえば満足」では21.9%、「満足以外」では3.5%となっており、「大変満足」の時のみ継続利用意向が高く、それ以外ではリピーターまたは固定客になる可能性は著しく低下している。
これは以前よりマーケティング理論として言われ続けてきたことだが、自社の提供する商品・サービスを欲している見込み客を同定することが重要であり、多数の属性が含まれているインデックスのランキングを上げたところで自社の収益性の向上には何の意味もない、という常識を改めて実証したものと言える。(編集担当:久保田雄城)