米消費右肩下がりが続く「消費性向の変化が影響」との見解

2019年02月15日 06:27

画・米消費右肩下がりが続く「消費性向の変化の影響」との見解

米を主食として副菜を用意する食事は共働き家庭が増えている現代社会においてはあまり現実的ではない。食の細い高齢者が消費する米の量は少なく、どうすれば若い年代が米を消費するようになるかという問題を主題として米の消費量低下問題を考えるべきだ。

 日本における米の消費量は右肩下がりである。農林水産省の統計によると、平成9年には食用米需要量が900万トンを超えていたが、ここ数年は700万トンを超えることはなく、20年で需要量に200万トン近い減少がみられるという。米の価格は2018年には上昇したものの、長期的にみればむしろ下降傾向にあるなかでも消費量が減っているというのだ。

 米の消費量が減少し続ける理由はいくつか考えられる。食卓に上がる食品の多様化、共働き世帯の増加、米を食べる層の人口などである。

 食品の多様化に関しては、主食として米ではなくパンや麺などの小麦製品を食す傾向が増したことを意味する。パンや麺類は、主食とした時に米よりも調理のバリエーションがあるのに加えて、それ一品に手間をかければパンか麺だけで十分食事として成り立つのだ。

 また、それには共働き世帯の増加が原因のひとつとして挙げられるだろう。米を炊くのにあたっては電気炊飯器の普及によって、夜に研いでタイマーをかければ朝には炊きたてのご飯を食べられる。炊飯のためにかける時間というのは大変短いのだが、一汁三菜と呼ばれるような食事を作ること、つまり米を主食として考えて副菜を用意することに手間がかかるのだ。

 具体例を挙げるなら、サンドイッチやパスタなどはそれだけで一食として満足できる。しかし、米はおにぎりを2つ食べたと仮定したときに一食として空腹は満たせても気分が満足するかというと難しいだろう。

 また、米を食べる層の年齢が摂る食事の量の問題もある。高齢者のほうが米を主食とする傾向にあると政府は発表しており、年齢別人口の問題なら米の消費は高まるはずなのであるが、高齢になるにつれて食事の量が減るため、単純に高齢者人口が増えたために米の需要も増えるという話にはならないのだ。

 日本では米の自給率が高く、米を食べることの経済的なメリットは大きい。米の需要を高めるにはどうしたらいいかを考えなければ生産者も日本の食料に関する経済事情も共倒れになるだろう。食が細くなっている高齢者ベースではなく消費量が多い若年層をターゲットにし、ライフスタイルも加味した上での工夫が必要である。(編集担当:久保田雄城)