高額国保料、滞納者に「闇金で借りてでも払え」

2019年02月21日 09:26

 病気や失業、所得急減などの理由で国民健康保険料(税)が高額過ぎて支払えない加入者に自治体担当職員が電話で「闇金で借りてでも払え」と発言したり、別の自治体では「自宅を競売にかけろ」など生活困窮に追いつめる違法な催促をするケースや差し押さえケースが発生している問題が20日の衆議院予算委員会で取り上げられた。

安倍晋三総理は「差し押さえにより生活が極めて困難になるようなことがないよう、(ケースにより)差し押さえの対象としないことが(制度として)できる。こうした制度が適切に運用されるよう、厚生労働省において各市町村に対する周知を徹底させる」と答えた。

 日本共産党の笠井亮議員が質した。安倍総理はまず、国保料が高くなっている要因について「高齢加入者の占める割合が高く、医療費が高くなる一方、加入者は無職や非正規雇用の労働者など低所得の加入者が多いという構造的な問題を抱えている」との認識を示した。

 実際、健康な時期には協会けんぽに加入していた労働者が定年退職で無職になり、国保に加入、年齢的にも医療機関にかかる機会が増える構造になっている。

 安倍総理は「特に低所得者にとって、保険料負担が重くなると考えている。そのため(3400億円の財政支援など)負担軽減に努めてきた」とした。しかし、全国知事会は負担軽減に1兆円規模の投入をこれまでに要請してきた。

 安倍総理は「国保制度の安定的な運営に努めていきたい」と答えたが、さらなる財政支援への検討に言及しなかった。笠井議員は「検討するとも言わない。けしからん。株主優遇税制を見直すなどで財源を確保し、国民のためにやるべきだ」と早期の検討を強く求めた。

 また病気、失業、所得急減など、やむを得ない事情から国保料が払えない家庭に対する滞納対応については「個々の事情に応じたきめ細かな対応を実施しており、趣旨を徹底している」と根本匠厚生労働大臣が答弁。

 根本大臣は滞納者の財産について「差し押さえを行うに当たっては市町村で滞納者の個別具体的な状況を良く把握したうえで適切に対応していただく必要がある。滞納者の生活を著しく窮迫させる恐れがある場合には滞納処分の執行を停止する。こうしたことは会議等で周知しているが、引き続き周知に取り組む」とした。

 笠井議員は「滞納者への対応は一歩間違えば『命』(にかかわる)問題だ」と慎重かつ温かみのある対応を強く求めた。また「国保料の引き下げが最大の収納対策になる」と見直しを訴えた。

 国保料は現在、協会けんぽに比べ2倍近い負担になっており、高すぎる国保料に支払えない世帯が約290万世帯、全加入者の15%にも上っている。

 全国知事会や市長会などは政府に対し国庫負担の増額を要望していて、全国知事会は5年前から「1兆円」の公費投入で、協会けんぽ並みの負担にするよう強く求めてきた。加入者の負担軽減へ見直し時期に来ているといえよう。(編集担当:森高龍二)