毎月勤労統計で調査手法の変更により大幅に賃金が上昇した問題で、調査手法見直しに関する有識者検討会の阿部正浩座長(中央大教授)に2015年9月14日、厚労省から「委員でない人から変更の示唆があった」とのメール連絡があったことが分かっているが、『検討会委員でない人』が当時の中江元哉首相秘書官であった可能性が濃厚になった。官邸の意向が反映された可能性がある。
根本匠厚生労働大臣が20日の衆議院予算委員会で、メールの主について「当時の担当部長に確認したところ、中江氏のことだと思われる」と答弁した。立憲民主党の長妻昭議員の質問に答えた。
メールは第6回検討会が開かれる2日前の話。調査対象の全部入れ替えから部分入れ替えも検討したいと第6回検討会で厚労省の姉崎猛統計情報部長(当時)が提案した。
第5回会議では検討会の方向性として「総入れ替え方式で行うことが適当である」(阿部正浩検討会座長)となっていた。しかし、9月16日の第6回会議で阿部座長が欠席のなか姉崎統計情報部長が「部分入れ替えを検討したい」と打ち出し、検討会としては結論がでないまま、18年1月から部分入れ替え方式に変更された。
長妻議員は委員ではない中江総理秘書官ら官邸サイドと厚労省とで毎月勤労統計をめぐりどのようなやり取りがあったのか、資料およびこの連絡のメールの提出を求めた。(編集担当:森高龍二)