18年、有給休暇取得率は35%で上昇も、政府目標70%から程遠い

2019年03月01日 07:14

画・18年、有給休暇取得率は35%で上昇も、政府目標70%から程遠い。

Donutsが年次有給休暇取得率などの統計データを公表。2018年の年次有給休暇取得率は35%で、16年と比べ約1.3倍に向上。「旅行、宿泊業」が48%で最高、「理容、美容業」が22%と最少。

 昨年5月に働き方改革関連法案が可決された。労働基準法の改正とも合わせ本年4月から有給休暇5日の取得義務化が適用される。これに先立つ2017年12月の厚労省「仕事と生活の調和推進のための行動指針」では「2020年までに有給休暇取得率70%とする」との数値目標が掲げられている。しかし日本の有休取得率はその後も低いまま推移し、その要因として日本の労働者の多くが有休取得に対して罪悪感を持っていることが指摘されてきた。今回の法制定・改正は、こうした事情を背景に事業所に対して労働者に有休を取得させることを義務付け有休取得率を上昇させようとするものだ。直近の有休取得率の状況はどうなっているだろうか。

 クラウドで勤怠管理システムを提供するDonutsが自社システムのデータから年次有給休暇取得率と1人あたりの月平均残業時間に関するデータを集計し、その結果を公表している。

 2018年暦年の年次有給休暇取得率は35.0%であった。政府の目標値70%からは程遠いといえるものの、前年17年は31.4%、さらに16年は25.6%であったので、16年と比べると1.36倍にまで上昇しており上昇傾向ではある。

 企業規模別に見ると、従業員「0人以上30人未満」で31.8%、「30人以上50人未満」が39.7%、「50人以上100人未満」38.7%、「100人以上300人未満」が42.4%、「300人以上」が35.7%で、「0人以上30人未満」でもっとも低く「100人以上3000人未満」で最も高くなっているが規模との相関は見いだされない。

 業種別に見ると、「旅行、宿泊業」が47.8%と最も高くなっており、16年との比較でも上昇率が最も高くなっている。一方低いのは「理容・美容」の22.2%や「建設業」23.9%で、人手不足が深刻と見られている「卸売業」「小売業」では年々取得率が下がっている傾向がみられ、取得率やその動向に関し業種間でばらつきが見られる。

 現況では政府目標の70%からは程遠い状況のようだ。4月から取得義務化が適用されるというものの、業種により様々な事情が背景にあるように思われ、そうした事情を払拭し有休を取得しやすい環境を整備しなければ取得率向上へはつながらない可能性がある。取得率向上を妨げている要因として人手不足があるとも想像でき、政府も企業もそうした構造的問題を解決するようさらなる努力が必要なようだ。(編集担当:久保田雄城)