人々の働き方に関して様々な問題や課題が浮き彫りになっている昨今、より良い労働環境の整備は日本の社会全体にとって必須の事柄であると言える。一年を通してめったに休まないとの感想を海外の人達から漏らされる事もあるのが日本人だ。有給取得率の高い国から見れば、日本人とは年中仕事ばかりしているようなイメージになってしまうのかもしれない。近年の日本では過労死のニュースが飛び交う事も少なくないため、こういった海外からの印象もあながち間違いではないのだろう。
世界と比較した日本の有給取得率を公表したのはエクスペディア・ジャパンである。聞き取りの対象となったのは19カ国。何らかの仕事に就いている男女11,144名にインターネット上でアンケート調査を行った。
エクスペディア・ジャパンでは毎年この調査を行っているが、日本の有給取得率は3年もの間連続して最下位となっている。2018年の調査によれば日本人の有給取得率は50%だった。驚くべきはワースト2位であるオーストラリアとの比率差だ。オーストラリアでは70%の取得率となっており、下から2番目の国と比べても20%の差が開いてしまっている。
日本人の58%については休暇の取得に対して罪悪感を抱いていることも分かった。他が休まないから自分も休めないなど、周囲の目を気にして休みを取れずにいる人も多い。更には現状を妥当だと考えてしまう人の割合も、日本人の場合は他の国と比較して高くなっていた。アンケートの結果を見ると、休みが少ない国の場合はその分休みを欲する傾向が高くなる。ところが日本は休みが少ないにもかかわらず、今より多くの休みを求める傾向があまり高くはない。
これらは有給をなかなか取得できない日本人の感情的な側面であるが、それを助長する現実的な休暇取得困難の実態もある。休暇を取れない理由の中でも、特に目立つのは人手不足という現状であった。自分が休んでしまうと周りに迷惑が掛かってしまうといった感情にも繋がっていくが、これは必要な人員が揃っていない企業に勤める人が陥りがちな問題だろう。
労働状況改善のために国も必要な対策を練ってはいる。しかし実態が伴わないまま有給取得に関する法的な効力を生じさせても、結局苦しむことになるのは現場の労働者といった事態も懸念されるかもしれない。(編集担当:久保田雄城)