2017年の4月から都市ガスの自由化が実施された。その1年前の16年4月から電力の自由化が行われている。ガス自由化が実施されるに至った背景は電力自由化と同じである。11年の大震災による原発事故がその背景だ。
事故を受けて日本の原発は完全な安全性が担保されるまで稼働停止となった。これはもちろん電気料金の高騰につながる。それまで日本の住宅は原発を稼働することを前提にオール電化を推し進めてきた。
しかし、原発停止で事態は一変した。電気料金高騰は家庭の光熱費を高騰させる。これはマクロ経済に対してマイナスに作用する。環境への配慮の観点から言ってもオール電化は原発稼働を前提としなければ意味が無い。そこで家庭のガス使用が再評価されることになる。
ガス自由化と電力自由化はともに自由競争を促進して料金を低下させることが狙いだ。そしてこの過程で再びガスの使用へと家庭のエネルギーをシフトさせていくのが国の思惑であろう。ガス自由化から2年が経とうとしている現在、国民の意識はどうなっているであろうか。
IT系リサーチ業のNEXERが1月、アンケートサイトの会員824名を対象に「ガスに関するアンケート」調査を実施し、その集計結果を19日に公表している。「ガス自由化について知っているか」という質問に対しては、「詳しく知っている」が9.6%、「大まかな内容だけ」が40.3%でガス自由化の認知度は約5割ということになる。「電力自由化について知っているか」に対しては、「詳しく知っている」が14.4%、「大まかな内容だけ」が47.1%で両者を合わせて61.5%が認知しており、電力自由化の方が認知度が高い。
ガス自由化を知っていた者に「実際ガス会社を切り替えたか」という質問に対しては、「切り替えた」と答えた者は11.1%のみで9割近い者が切り替えを行っていない。「切り替えを行っていない」と答えた者にその理由を聞いたところ、「メリットが感じられない」が37.0%と最も多く、次いで「手続きが面倒くさい」が17.3%、「どう変わるか分からない」13.0%などと続き、切り替えを行っても何が変わりどんな利益を得られるか不明で手間やコストをかけたくないと思っている者が多そうだ。
料金面でははっきりとしたメリットが出ずに手続きや制度面は複雑で、未だ消費者の理解を得られていないようだ。業界の更なる努力に期待する。(編集担当:久保田雄城)