電力販売の自由化が始まって2年が経過した。この電力自由化を受けて、様々な企業が「新電力」として電力業界に参入した。また、既存の電力会社もポイントサービスや値下げなど新たなサービスを実施し、電力業界全体が大きく活性化した2年間だったといえるだろう。しかし、電力の自由化ということは翻せば業界内での競争も激化したということになる。新電力として参入したものの、結果的に業界内での競争に追いつけずに廃業に追い込まれたところも少なくない。その一方でそんな新電力の中でも、競争力を強化するために様々なアイデアを凝らしている企業も存在する。
「TOKYO油電力」は、使用済みの天ぷら油をリサイクルして発電させた電気を販売するユニークな新電力企業だ。もともとは食用油のリサイクルを行う会社で、世界出始めて使用済みの食用油からディーゼル燃料を生み出したという実績もある。そんなTOKYO油電力が電気を発電するために廃油に目をつけたのは必然といえるだろう。ここでは主に飲食店から出る業務用の廃油を集め、それを利用して発電する仕組みを開発した。まだ小さなビジネスでしかないが、いずれはもっと事業を拡大していきたいという構想を持っているという。もともと廃油が原料となっているためコストは安く、電気の価格もかなり安いという特徴がある。
そんなTOKYO油電力と同じく再生エネルギーで電力を生み出す事業を進めているのが「みんな電力」だ。このみんな電力では、太陽光や水力、バイオマスといった再生エネルギーを利用して電力を生み出し、安価で提供している。みんな電力が他の新電力と比較してユニークな点は、「学校応援でんき」というキャンペーンだ。これは学校に設置した太陽光パネルから発電した電気を販売するという仕組みであり、大阪府高槻市を中心にパネルの設置が進んでいる。みんな電力の特徴は、発電は基本的に再生エネルギーを利用しているためクリーンなエネルギーを提供できるという点にある。原子力発電所に対する不安が今なお根強い中、こうした再生エネルギーを中心に取り扱う新電力は社会的に見ても意義は大きいといえるだろう。
このように、新電力として参入してきた企業の中には様々な形態で電気を発電し提供しているところが増えている。これらの企業で発電できる電力量はまだ決して多くはないものの、より多くの電力を発電できるようになれば、さらなる電力業界の活性化につながることだろう。(編集担当:久保田雄城)