法の番人が政権の門番に成り下がった 辞任要求

2019年03月08日 07:12

 国会答弁で政治的発言をし、数分後に発言を撤回した横畠裕介内閣法制局長官に「撤回ですむ問題ではない」と長官の辞任を求める声が6日から相次いでいる。

 横畠長官は6日の参院予算委員会で立憲民主党の小西洋之議員が行政府を監視する立法府の国会議員の役割を質した際「このような場(国会)で声を荒げて発言するようなことまで含むとは考えておりません」と答弁の範疇を超えた政治的な「答弁」をした。

 これに対し、7日の衆院本会議で立憲民主党の篠原豪衆院議員は、法の番人たる内閣法制局長官として看過できない政治的発言で、謝罪・撤回で済む話ではないと「潔く内閣法制局長官の職を辞すべき」と求めた。

 また同党の辻元きよみ国対委員長は党会合で「野党議員を揶揄するような発言であり、この一言をもって(内閣法制局長官の)任にあらず。『法の番人』が『安倍政権の門番』に成り下がった。権力の腐敗ではないか」と即刻辞任すべきと指摘した。

 同党の山内康一政調会長代理は「国会と内閣の関係において極めて危険な兆候だ」と事の重大性を提起。

山内氏は「内閣法制局は法の番人。そして政府の憲法解釈を確定する組織。歴代内閣法制局長官は厳正に政治的に中立、そして法的に厳正な解釈をすることで与党野党双方から信頼されることが重要とされてきた。与党にも言うべき時にはキチンという。国会と内閣からも信頼されるものでなければ内閣法制局長官は務まらない」とした。

そのうえで「安倍政権になってから安倍総理の言いなりになるような、政権に忠実な人が選ばれるようになった。今の長官は官邸の番人に成り下がった。横畠長官は即刻辞任すべき」と民主主義、法治国家にとって憂慮すべき危険な事態であることを提起した。

 日本共産党の志位和夫委員長は「内閣法制局は法案の憲法への適否を法理的に詰める部署であり、こんな政治的発言をする権限はなく、全くの越権行為。長官失格であり、辞めさせるべきだ」とした。

 国民民主党の大塚耕平参院会長は、6日の参院予算委員会での小西議員と横畠長官ノやりとりを直接聞いていないので、発言についてコメントは控えるとしたうえで、これまでの国会での自身と横畠長官とのやりとりからも「歴代の法制局長官とはかなり体質、言動の異なる方だとの印象はある」と述べた。(編集担当:森高龍二)