日産自動車とNTTドコモ、「Invisible-to-Visible」技術の5G走行実証実験を開始

2019年03月14日 06:24

I2V_image_5G_graphic_03

日産自動車とNTTドコモが進めるリアル(現実)とバーチャル(仮想)の世界を融合し、ドライバーが「見えないものを可視化」する「I2V」の実証実験の概念

 日産自動車とNTTドコモは、第5世代移動通信方式(5G)を用いてInvisible-to-Visible(I2V)」技術を走行中の車両で活用する実証実験を開始したと発表した。

 日産は、リアル(現実)とバーチャル(仮想)の世界を融合し、ドライバーが「見えないものを可視化」する「I2V」を「ニッサン・インテリジェント・モビリティ」を体現する未来のコネクテッドカー技術のひとつとして研究開発を進めている。「I2V」は車両内外のセンサーが収集した情報とクラウド上のデータを統合することで、クルマの前方や建物の裏側、カーブの先の状況など通常では見えないものをドライバーの視野に映し出す。

 また、「I2V」は人々がVR(仮想現実)によって思い思いの姿に変身したアバターとして活動する仮想世界のメタバースにつながる。つまりインターネット上に構築された、人々が様々な方法や形態で自由に交流できる仮想世界につながるということ。AR(拡張現実)/VR(仮想現実)/MR(複合現実)/XR(クロスリアリティ/多様な現実)などの技術を用いることで、メタバースはデジタルの世界と現実世界をつなぐ。

 「I2V」はメタバースを介して様々なスキルや知識を持った人々や遠隔地にいる知人や家族と現実世界のクルマとをマッチングし、ARによって車室内に3Dアバターとして登場させる。これにより、メタバースの人々と現実世界の人とが実際に同乗しているかのような存在感を感じながら、これまでにないドライブ体験を共有することができる。

 今回の実証実験は、車内のユーザーと遠隔地にいるユーザーが、互いにリアルな存在感や同乗感覚を得るために必要な情報提供方法(ユーザーインタフェース)やインタラクティブなコミュニケーションの有用性などを評価、確認することを目的とするもの。また、車外から車内へのアバターの伝送、および、車内の状況を車外で確認する俯瞰映像の伝送をリアルタイムで行なうため、NTTドコモの「高速大容量」「低遅延」な通信品質を実現するとされている次世代通信規格5G通信を活用する。

 なお、実証実験は日産のテストコース「グランドライブ」(横須賀市夏島町)において実施し、日産の商用バン「NV350キャラバン」をベースとした実験車両からドコモの5G通信によってメタバースへ接続し、「グランドライブ」内の離れた場所に実在するユーザーを3Dアバターとして走行中の車内に出現させ、車内のユーザーと会話しながら様々な情報提供を行なう。

 両社は今後、「I2V」のさまざまな利用シーンを想定した実証実験を共同で実施し、これまでにない新しいコネクテッドカー技術の研究開発を推進していくとしている。(編集担当:吉田恒)