トヨタ博物館に実車が1台も無い新館「クルマ文化資料室」オープン

2019年03月24日 13:06

Toyota_Museum

トヨタ博物館に新設する「クルマ文化資料室」の館内は約800台のミニチュアカーから構成されるタイムラインを軸としている

 愛知県長久手市にあるトヨタ自動車の文化施設、トヨタ博物館では、2015年から開館30周年に向けて常設展示のリニューアルを順次進めてきたが、4月17日に新たに「クルマ文化資料室」オープンさせる。

 同資料館は1989年4月の開館以来、自動車の実車だけではなく、国内外の自動車文化の関連資料も収集してきた。収集数は、書籍、雑誌、カタログが約20万点、その他の文化資料は約1万5千点にのぼる。「クルマ文化資料室」では、この収蔵資料から「移動は文化」をテーマに、約4000点の文化資料を一堂に展示する。

 自動車の「作り手」つまり企業としてのメーカーが紡いできた歴史を辿る「クルマ館」での自動車約140台による展示に対し、「クルマ文化資料室」は実物の「クルマ」は1台も無い。世に送り出された「クルマ」がどのように社会に受容され、どのようなイメージで表現されていったのか、その軌跡をたどる展示となる。

 館内は約800台のミニチュアカーから構成されるタイムラインを軸として、世界初のモーターショーのポスターや、世界初のダイキャストミニチュアカーなど多様に織りなされた自動車文化のありようを紹介しているという。

 展示は9つのゾーンで構成される。まず、日本では開国そして明治維新により、江戸時代までにはなかった馬車や人力車、鉄道などの乗り物が登場。交通手段が近代化していく様子を色鮮やかに描いている錦絵などを紹介。

 そして、世界初の自動車雑誌「La Locomotion Automobile」を始まりとし、1894年から2000年頃までにヨーロッパ、アメリカ、日本で創刊した自動車雑誌64冊の表紙で、その変遷を紹介。カタログは年代ごとに約150冊を展示する。同館で所蔵する約300点のポスターから、自動車メーカー、自動車部品・用品メーカー、モーターショーなどのテーマ毎に紹介し、世界初のモーターショーのポスターをはじめ約30点を展示する。

 自動車の誕生以降、数多くの自動車メーカーが創業し、ピーク時、欧米ではそれぞれ500社ほどが名を連ねていたが、1929年世界大恐慌で半分以上のメーカーが消滅した。自動車メーカーにとってブランドイメージそのものであり、自動車生産に関わった人々の情熱がこめられた約400点を展示する。

 1910年頃から1930年代前半にかけて、目印、お守り、ファッション、自己表現の一環として、クルマを飾るアクセサリーとして流行しました。特にフランスのガラス工芸家ルネ・ラリックが製作したガラス製カーマスコット全29種類の常設展示は世界でも稀だという。

 また、1950年代に欧米に輸出された日本製のティントイ(ブリキ製玩具)、プラスチックモデルキット、スロットカー、ミニ四駆、ビデオゲームなど約640点を展示します。世界初のダイキャストミニチュアカーや世界初のラジコンカーなどを紹介するコーナーも。

 19世紀末にガソリン自動車が発明され、自動車が普及していくと、クルマを識別するライセンスプレートも世界各国で採用されるようになった。世界各国で走るクルマに取り付けられているライセンスプレートも展示。

 なお、今回のリニューアルを機に本館は自動車の歴史を紹介する「クルマ館」、新館はクルマ文化資料室や企画展示室、図書室などを備えた「文化館」に名称を変更する。

 トヨタ博物館は愛知県長久手市横道41-100(名古屋瀬戸道路・長久手ICより西へ400m)。開館時間は9:30~17:00、休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)ならびに年末年始。(編集担当:吉田恒)