2016年に神戸で開催され話題を呼んだ「里山住宅博in神戸」に続いて、今年6月に関東圏ではじめて「里山住宅博」が開催される。
今回紹介する「里山住宅博inつくば」は、2019年6月から11月まで開催。期間限定の住宅博覧会で、これからの積極的な郊外居住のあり方を示す住宅博覧会だ。期間終了後、展示されるモデルハウスは、住まい手にそれぞれ分譲され、永く住み継がれる街となる。つまり、博覧会の展示会場はそのまま住民が住む街となるわけだ。
その「里山住宅博inつくば」のプレイベントとして3月下旬、桜が開花しはじめた春の青空が広がる休日に「記念植樹祭」が開催され、地元の子どもなど家族連れや事前に登録した住宅購入希望者など約200名ほか主催者を含めた出展工務店関係者らが、20年後には立派に成長し、実現する新しい里山づくり・植樹に参加した。
「里山住宅博inつくば」は土地を取得したサンヨーホーム、地域木材の地産地消を推進する茨城県産材普及促進協議会が主催者となり参加する地域工務店21社(参加工務店は、アキュラホーム、アゲルホーム、家づくり革新 暁、伊勢喜屋工務店など)による実行委員会により運営される。
博覧会会場街区は、茨城県つくば市春風台A15街区1画地の一角で「春風台ヒュッゲガーデン」の2万5684.28平方メートル。2005年に開業したTX(つくばエクスプレス)終着「つくば駅」から約5.5km、クルマで約10分の距離にあり、首都圏最後の一戸建てでの都心通勤圏郊外住宅地とされるエリアだ。そこでは現在、参加する地域工務店21社が23棟のモデルハウスを建築中で、23棟すべてが、茨城県産材を使って建てられ、街区全体が完成すると75棟の茨城県産材による木造住宅が建ち並ぶ里山に囲まれた郊外型田園住宅街となる。街区の名称に使われた「ヒュッゲ(Hygge)」とは、デンマーク語で、「人と人とのふれあいから生まれる場所を“ヒュッゲなところ”と呼び、温かな居心地のよい雰囲気」という意味の、他国の言語では置き換えられないデンマークの個性を表現する言葉だ。
この里山に囲まれた郊外型田園住宅街に住むには、博覧会会場で気に入ったハウスメーカーを見つけ、そのモデルハウスを購入するのがひとつの方法。また、別途「春風台ヒュッゲガーデン」(建築条件付き)の土地を購入して気に入った工務店を21社のなかから選び、注文住宅建設を依頼することもできる。博覧会の簡単な仕組みはこういうことだ。
街区には里山斜面部分のほか広大な「コモン」と呼ぶ共用の庭・広場が置かれ、里山と共にその1万平方メートルを超える土地は居住者の持分に応じた共用スペースとなる。この共用部の管理・整備は各戸が支払う共益費で運営するプロフェッショナルな造園会社による指導のもと周辺農家が携わり、時には住民も参加して行なう。そこでは夏、プロと農家による指導のもとに住民同士で里山を手入れして、秋に果実の収穫を行なうなど、各戸家族の交流が盛んな75戸のコミュニティにとって大切な場所となるという。
分譲する75区画の専有土地面積は207.22?280.55平方メートルで、価格1078万円?1534万円で分譲予定だ。建築する住宅および設備などについては、つくば市の認可を得た「春風台ヒュッゲガーデン街区景観協定」で細かく規定されており、自然と調和した田園住宅街としての景観が期待できる。(編集担当:吉田恒)