「億ション」から「億邸」へ。富裕層に広がる卒タワマンの動き

2019年05月12日 10:47

Aqura AQ_Residence

人生をより豊かにしたいと考える人たちが、タワーマンションを卒業して、ゆったりと暮らせる億邸に魅力を感じるのは当然の流れなのかもしれない

 ここ数年、都心部を中心に続いてきたタワーマンションブーム。その勢いが今、少し陰りを見せ始めているようだ。その原因の一つは、価格の高止まりだ。タワーマンションの高層フロアに住むことは成功の象徴であり、ステイタスと考える風潮は根強いものの、それでもさすがに高騰しすぎのきらいがある。一時、投資目的で日本のタワーマンションを積極的に購入していた海外投資家なども、採算が合わずに徐々に撤退し始めているほどだ。

 では、そんな高額なタワーマンションを買える富裕層自体が減っているのだろうか。

 株式会社野村総合研究所が2018年12月に発表した「2017年の純金融資産保有額別世帯数と資産規模についての推計」によると、世帯の純金融資産保有額が1億円以上5億円未満の「富裕層」は118.3万世帯、5億円以上の超富裕層は8.4万世帯で、合計すると日本の全世帯数の2%強にあたる126.7万世帯にも上る。

 それなら富裕層は一体、どこに行ってしまったのか。その行先は郊外の「億邸」だ。都心にそびえ建つタワーマンションの高層階は確かに魅力的だ。最新の住宅設備に囲まれて、窓から下界を見下ろすと、自らの成功をひしひしと感じられることだろう。しかし、マンションにはスペースの制限がある。間取りなどの自由度も低いため、ライフスタイルも自ずとそれに合わせていく必要がある。そこで、大きな敷地で、もっと自由に趣味や生活、自分らしいライフスタイルを楽しめる「億邸」に興味を示す富裕層が増えてきているのだ。

 実際、大手ハウスメーカーを中心に「億邸」の販売個数が数年前に比べて増加しているという。

 例えば、積水ハウスは2016年に注文住宅シャーウッドの最高峰ブランドとして、坪単価100万円以上、敷地面積100坪以上を想定した、国内住宅業界でも最高水準の億邸「グラヴィスステージ」 を発売しているが、開口部の広さや自由な設計が評判を呼び、順調に売り上げを伸ばしているようだ。

 また、住友林業 の億邸も人気だ。同社では、木造住宅メーカーならではの、国産ヒノキなどの建築木材にこだわった「MyForest[GS]」の他、邸宅設計をコンセプトに木造住宅らしからぬ洗練されたデザインが魅力の「BF GranSQUARE」などをラインナップ。自由な間取り設計だけでなく、様々なプランを展開することで、マンションなどにはない「木のぬくもり」 を求める人たちの人気を集めている。

 大手だけでなく、中堅のハウスメーカーでも高級住宅市場への参入が進んでいる。木造注文住宅を手がける株式会社アキュラホームの「AQレジデンス」もその一つだ。同商品は、日本有数の庭園を手掛ける庭師・比地黒義男氏や、高度な伝統建築技法“数寄屋造り”の数少ない大工職人・杉本広近氏、そして芸術性の高い左官技術で世界から注目される左官職人・久住有生氏など、 各界を代表する最高の匠たちを結集し、 日本の伝統的な知恵と最先端の技術を駆使したもので、唯一無二の住宅を提供している。そして特筆すべきは、その価格の安さだ。大手メーカーの億邸にも引けを取らない内容ながら、同社では住宅建築の合理化ノウハウやコストダウン技術などを体系化した同社独自のアキュラシステムを活用することで、市場よりも約3割も安い価格(アキュラホーム調べ)での提供を実現している。「AQレジデンス」なら、コストパフォーマンスに優れた億邸暮らしを実現できるのではないだろうか。

 住まいはステイタスを誇示するためにためにあるのではない。利便性や資産価値も大事だが、何よりもまず、そこでおくる人生に満足できるかどうかだ。家族との生活を楽しんだり、心身をくつろがせたり、趣味に没頭したり、人生をより豊かにしたいと考える人たちが、タワーマンションを卒業して、ゆったりと暮らせる億邸に魅力を感じるのは当然の流れなのかもしれない。(編集担当:藤原伊織)