労働基準法が改正され、この4月から年5日以上の有給休暇を労働者に取得させることが企業に義務付けられた。政府は働き方改革を推進し休暇取得の促進を図っているが、日本の勤労者の休みを取りにくい空気という特性を考慮し、企業側に休暇取得の指導性を持たせて有休取得を促進させようというのが狙いであると言える。
企業側はこの制度をどのように捉えているのであろうか。この点に関し人材サービスのエン・ジャパンが自社サイトを利用している企業610社を対象に「有給休暇の取得義務化」について2~3月にアンケート調査を行ない、その結果を8日に公表している。
まず、この制度について「知っているか」という問いに対しては、「内容も含めて知っている」が63%、「概要を知っている」が33%で、両者を合わせると96%の企業が「知っている」と答えており認知度は極めて高い。
この制度の印象については、「非常に良いと思う」が23%、「まあ良いと思う」が50%で、両者を合わせると73%「良いと思う」と答えており肯定派が大多数だ。一方で「あまり良いと思わない」21%、「良くないと思う」5%となっており、両者を合わせると26%、4分の1以上の企業が「良くないと思う」と答えている。
「現在、有給取得を促進しているか」に対しては、70%が「促進している」と答えており、業種別では「金融・コンサル関連」が100%、「商社」が79%、「IT・情報処理関連」で77%などと高くなっている。一方、「広告・出版・マスコミ関連」36%、「流通・小売関連」34%、「不動産・建設関連」27%で低い割合となっており、業種によって大きなバラツキが見られる。
取得義務化を実施して行く上での「難しい点や課題」について尋ねたところ、「人員不足」が65%で最も多く、次いで「業務量が人に偏っている」が60%、「常に仕事量が多い」が36%などとなっており、人手不足の中で有休取得をどう実現して行くかが主な課題のようだ。
取得義務化への対応方法については、「有給休暇の計画的取得」83%と「有給休暇取得のための周知・啓発」81%に回答が集中し、計画的に有休を配分するとともに労働者に対しても自発的な取得を促す取り組みが中心になりそうだ。
自由回答欄では「本来、自由裁量によるべきだが、取得が進まない現状では義務化は一助になる」との意見も見られ、自発的取得につながるキッカケと見る企業担当者も少なくないようだ。(編集担当:久保田雄城)