国有地大幅値引き「ごみはなかった」真相究明を

2019年06月02日 15:43

画・教育費が年々増加傾向。「教育費が家計を圧迫している」6割半。

なぜ、なかったごみを「みつかった」とし「8億2000万円」値引きして、森友学園が計画した小学校建設を応援する措置をとる必要があったのか

 大阪府豊中市の国有地が森友学園(大阪市)に8億2000万円値引きして払い下げられた問題。値引き根拠は地下3メートル以上深いところで『新たにごみが見つかった』というものだった。

 しかし、今年5月24日、籠池泰典元森友学園理事長=補助金に絡む詐欺罪で起訴され公判中=が記者会見で地下3メートルより深いところに『ごみはなかった』と値引き根拠を覆した。

 籠池元理事長は「再び除去しなければならないごみはなかった」と語ったのだ。学園側が政府に提出した試掘現場の写真にも1枚の写真を使いまわしした疑惑等が深まっている。

 なぜ、なかったごみを「みつかった」とし「8億2000万円」値引きして、森友学園が計画した小学校建設を応援する措置をとる必要があったのか。

 問題の核心部分がまったく解明されていない。籠池夫妻の補助金を詐取したとする問題は刑事事件になっているが、核心部分は「政治問題」で、その点こその解明を筆者含め、国民は望んでいる。籠池夫妻が安倍夫妻を利用したとも勘繰られないこともないが、だからこそ、改めて真相解明に努めるべきだ。

 安倍晋三総理はこの小学校の設置や国有地払い下げに「私や妻が(小学校設置)認可あるいは国有地払い下げに、もちろん事務所も含めて、もしかかわっていたのであれば、私は総理大臣も国会議員も辞めるということをはっきり申し上げておきたい」(2017年2月17日の衆院予算員会で)と答弁している。

 籠池元理事長の働きかけを受け、昭恵総理夫人付政府職員が財務省に問い合わせをしていた事実、建設予定の小学校名誉校長に昭恵夫人が一時就任していた事実、昭恵夫人が建設予定地を訪ねていた事実、これら事実に加え、当時、教育勅語を尊重する教育を掲げ、運営する幼稚園では幼児に教育勅語を暗唱させていた森友学園の当時の思想を安倍夫妻が評していたとする旨の発言を籠池元理事長が話し、「安倍晋三からの寄付です、と昭恵夫人から100万円の寄付を受けた」とする籠池元理事長の発言についても、その事実関係はどうだったのか。明確にすべき。

 これまでの経緯からみても、まったく関与や関係がなかったのか。昭恵夫人と夫人付だった政府職員には公の場で記者団の問いに答えるか、国会で議員の問いに答えて頂く責任があるだろう。

 この土地払い下げ経緯の中で、決裁文書が改ざんされ、近畿財務局の男性職員(当時54歳)が自ら命を絶った。籠池元理事長が新たな情報を発信するようになった今、これまで解明されないままになっている部分を紐解いていく時期に来ている。

 併せて、5月30日、国有地払い下げに関し大阪地裁で関連する裁判の判決があった。値引きの理由、価格開示をしなかったことで精神的苦痛を受けたとし、大阪府豊中市の木村真市議が国に損害賠償請求をしていた。松永栄治裁判長は、売買代金は公表されるべき情報だとし3万3000円を支払うよう命じた。

 公表されるべき情報とした根拠に「国有地の売却金額は基本的に公表されるべきで不開示は違法」。注視されるのは2013年度から16年度までの随意契約で売却された104件のうち、なぜか、この土地の払い下げ価格のみが「不開示」扱いにされていた点だ。その背景を明らかにすべきだ。

 あわせて、地中のごみについて「相当量のごみは存在した」とし、値引き根拠になった3メートルより深いところにごみが実在したのかどうか、精査すべき。3メートルより深いところにごみがあったのか。核心部分が明らかになっていない。個人的な思いだが、控訴に期待したい。(編集担当:森高龍二)