国有地の地下3メートルより深いところに新たなごみが見つかったなどとして8億2000万円を値引きし、学校法人森友学園に1億3400万円で売却された一連の問題。
安倍昭恵総理夫人らに関する部分を削除するなど、学園側との交渉に関する決裁文書改ざんをうけて告発された財務省の佐川宣寿元理財局長ら理財局の職員6人、背任容疑で告発された近畿財務局の職員3人、国交省大阪航空局の職員1人は不起訴になったが『大阪地検特捜部の判断の妥当性』を審査してきた大阪第一検察審査会は29日「不起訴不当」と判断した。市民団体が不起訴は納得できないと申し立てていた。
大阪地検特捜部は捜査をし直し、起訴すべきかどうか判断することになった。国民が納得できる合理的な判断を期待する。司法の場でこの案件が取り上げられることになれば、一連の問題で、誰が交渉記録の廃棄を指示したのか、値引きが本当に正当なものだったのか、安倍昭恵総理夫人が、土地売却の交渉にどのような影響を与えたのか、あるいは与えていなかったのか。問題が起きた動機を含め、明らかになってくる可能性がある。
学園は財務局との土地交渉の際、昭恵総理夫人が小学校建設予定地を訪ねた際に「いい土地ですから、前に進めてください」との言葉を昭恵総理夫人から頂いたと説明していた。安倍総理は国会で「私や私の妻がかかわっていたら、総理も議員もやめる」と発言。この発言をきっかけに隠蔽、改ざん、口裏合わせなどが進んだ可能性がある。
森友問題を追及している日本共産党の辰巳孝太郎参院議員は今国会でも「総理の妻が肩入れし、関与した学園には国有地が8億円も値引きされ、タダ同然で売却され、総理の腹心の友には獣医学部の新設が52年ぶりに特例的に認められるという重大な国家の私物化が露呈をしました」と提起し、今回の検察審査会の判断にはツイッターで「本件国有地を森友学園側が希望する価格に近づけるため、売却価格ありきで値引きし、売り払ってしまう方向に動いたのではないか」と背任追及を求める意見にも「その通りです」と書き込んだ。
森友問題に絡む国会での官僚の虚偽答弁、決裁文書改ざん、交渉記録の隠蔽、廃棄など、これほど国政に対する国民の信頼を傷つける事案は平成の中であっただろうか。加計学園獣医学部新設にからむ疑惑や厚生労働省の統計不正など、その後も後を絶たない。官僚が国民の側を見て仕事をせず、官邸の側を見て仕事をしている疑義を抱かせる持たざる事例が相次ぐことは深刻だ。国民の信頼を回復させるためにも、検察審査会の「不起訴不当」に応える特捜部の捜査、判断を期待する。(編集担当:森高龍二)